世界最大の旅客機を製造するエアバス社の神戸営業所が神戸空港島にあります。そこには空の安全や人命救助にも役立てられている機器が置かれています。どんな機器なのか取材してきました。
神戸空港島のエアバス・ジャパン神戸営業所にやってきました。空の安全を守るための設備はここにあります。案内してくれるのはパイロットの布崎敦三さんです。
エアバス社と言えば、世界最大の航空機A380が有名ですよね。でもここはヘリコプターを扱う営業所なんです。
(布崎さん)
こちらがエアバスヘリコプターズの日本で唯一のフルフライトシミュレーターになります。
エアバス社のものは世界に24台。日本に1台しかありません。なんと球体の直径は6メートルです。
(朝田アナ)
操縦席に中はなっていて外から見るのと全然ちがいますね。これはヘリコプターの形になっているんですか?
(布崎さん)
そうなんです。ヘリコプターのコックピットです。
実際のヘリコプターのコックピットがそのまま組み込まれています。エアバス社が誇るシミュレーターのすごさをご覧ください。
(布崎さん)
それでは離陸していきます。先にこのパワーレバーを上げて地面から浮き上がります。
(朝田アナ)
すごい!動きました。左右もしっかり映像が。
(布崎さん)
いま東向いてますので三宮は左手になります。
(朝田アナ)
ここ、旧サンテレビの社屋があった場所ですね。
ポートアイランドから三宮や神戸ポートタワーのあるメリケンパークまでが映像で忠実に再現されていました。主要な都市や全国の山岳の地形がデータ化されています。
(朝田アナ)
忠実に再現する必要はあるんですか?
(布崎さん)
地形や建物送電線などの障害物に注意しながら飛行する必要があります。現実にあるものが再現されているとですね、より訓練効果が高くなります。
(朝田アナ)
機体が傾いているのも再現されているんですね。かなり傾いているのが分かります。
この傾きもエアバス社が持つフルフライトシミュレーターの大きな特徴です。それは外から見るとよく分かります。
球体を支える足が激しく稼働していますよね。操縦桿の動きに連動していて、シミュレーターとは思えないくらいの動きです。
(朝田アナ)
姫路城上空、こちら世界遺産姫路城です。白鷺城とも呼ばれている姫路を代表するスポットです。
シミュレーションのパターンは184通り。悪天候やエンジントラブルなどさまざまです。
布崎パイロットがシミュレーターならではの訓練を見せてくれました。悪天候でエンジンが故障し姫路城に不時着します。
(布崎さん)
シミュレーターの長所というのは、こういった実際の航空機ではできないことができることです。
基本的には常に、飛んでいるときは何かあったときに安全に降りられる場所、自分たちが安全に降りるだけでなく地上にいる住民に危害を与えないよう二次災害を起こさないよう、安全な着陸地を選んでいる。
布崎さんはパイロットでもありながら訓練のインストラクターも務め、事故の軽減につなげています。
神戸市消防局・航空機動隊。厳しい状況でも飛行が求められる消防隊員たちも、このシミュレーション訓練を行っています。
(神戸市消防局・航空機動隊 小國正英操縦士)
(エンジントラブル)最初はやっぱりうまくいかないですね。うまくいかないんですけど何回かやっているうちに少しずつ状況に慣れてきて、正確な判断や正確な操作ができるようになりました。
救助に行って自分が救助されるということにはならないように、絶対に事故を起こさないという気持ちでやっております。そのためにもシミュレーターを使って二次災害が起こらないように、前もって準備する形で取り組んでおります。
(いざというときに対応する余裕が)生まれてきます。全然違います。
エアバス社のフルフライトシミュレーターは、空の安全を守るために重要な役割を担っていました。