■球団社長は報酬ゼロ
女子バレーボールVリーグ1部(V1)に残留したヴィクトリーナ姫路は5月30日、2022年シーズンへ向けた「キックオフミーティング」を開き、安保澄(あぼ・きよし)新監督の就任と、日本代表アウトサイドヒッター・宮部藍梨(みやべ・あいり)(23)らの入団を発表した。
また新キャプテンにはミドルブロッカーの荒谷栞(あらたに・しおり)が決まった。
安保新監督は、女子日本代表コーチなどを歴任し、ロンドン五輪の銅メダルにも貢献。ヴィクトリーナ姫路では、眞鍋政義氏(現・女子日本代表監督)の後を受けてGM(ゼネラルマネージャー)を務めていた。
宮部藍梨は身長181㎝。尼崎市出身で父親はナイジェリア人。
大阪・金蘭会高1年から活躍し、16歳で日本代表に。その後、アメリカに留学していたが、妹の愛芽世(あめぜ)(東海大)とともに、ことし代表に復帰した。
ヴィクトリーナ姫路はV1に昇格して以来、最下位(12位)→10位→11位と下位に留まっていて、ミーティングでは新監督らが選手へ現状打破を訴えた。
橋本明・球団社長は、チーム不振の責任を取って今年の報酬をゼロにすると明らかにした。
監督らの主な発言は以下の通り。
■優勝まだ絵空事/安保新監督
初代の竹下佳江監督と、中谷宏大前監督の2人が、立ち上げから昨季までチームを成長させてくれた。2人に劣らない情熱と労力をかけて強いチームにしていきたい。
2022-23シーズンはベスト8(8位以上)を目指す。本来なら“ベスト4”とか“優勝”を目標にすべきかもしれないが、現在の自分たちの実力は3季連続して下位にいる。下位から抜け出し、まず中位にいかなければならない。そうでなければ、優勝とか言うのはまだまだ絵空事だ。
(Q.チーム強化のポイントは?)
失敗をネガティブにとらえず、自分たちを成長させてくれるものと選手に認識させたい。
スキル面ではサーブとスパイクを強化したい。
■覚悟の年/荒谷新キャプテン
ヴィクトリーナ姫路は今季は覚悟の年だと思う。V1に昇格して順位を上げられない状況を打破しなければいけない。スポンサーや地域から「愛される」チームから、更に「強いチーム」にならないといけない。
昨季のケガ(開幕戦で左膝前十字靭帯断裂)から完全に復帰できていない私がキャプテンになってよいか悩んだが、このチームで勝ちたいという気持ちが上回り、キャプテンを務める決断をした。
今までの悔しい思いを忘れず、きょうからヴィクトリーナ姫路が強いチームになるよう引っ張っていきたい。
■原点に戻って/宮部藍梨
(Q.どうして姫路に入団したのか?)
私は兵庫県出身だが、高校は大阪へ、大学はアメリカへ行く形になった。今まで応援し続けてくださった兵庫県の方々に恩返しがしたいという気持ちが入団を決めた一番の理由だ。
(Q.得意なプレーは?)
アメリカでは高いブロックを相手にプレーしてきた。そこを見てほしい。
(Q.日本以外の選択肢もあったのか?)
海外のチームからオファーもあったが、プロとしての1年目、自分の原点に戻ることが大切だと思った。
■9人制選手も入団
宮部のほか、古市梨乃(大阪府出身 順天堂大 22歳)と吉崎ひな(鹿児島県出身 鹿児島銀行 23歳)の入団も発表された。
いずれもアウトサイドヒッターで、古市は内定選手として昨季後半に出場し活躍した。
また吉崎は9人制バレーのチームにいたが、「光るものがあり」(安保監督)、トライアウトを経て入団した。
一方、2季チームの指揮を執った中谷宏大監督が退任し、アウトサイドヒッター・脇田美怜、リベロ・福井愛加の2選手が退団した。
昨季、リーグ3位の666総得点を挙げたセレステ・プラク(オランダ代表)とは、現在、交渉中という。
また前キャプテンの貞包里穂が4月下旬、練習中に左ひざを負傷し、現在リハビリ中と発表された。
(浮田信明)