サッカーJ1のヴィッセル神戸は8日、今季3人目の監督としてスペイン人のミゲル・アンヘル・ロティーナ氏(64)の就任を発表しました。
同日、ノエビアスタジアム神戸で就任会見が行われ、現状J1で17位と低迷する神戸の立て直しに向け「ファンに気に入られながらも、結果を求めるサッカーをつくりたい。」と語りました。
■昨季3位のチームがまさかの低迷
元スペイン代表のアンドレス・イニエスタや、日本代表の大迫勇也らスター選手が数多く在籍している神戸は、2021年シーズンに、J1・3位となり、クラブの最高成績を記録しました。さらに今年はアジアチャンピオンズリーグ(ACL)制覇を目指すべく、元日本代表のDF・槙野智章らを補強し、チーム力のアップを図りました。
しかし、FW・武藤嘉紀やMF・サンペールなど主力にけが人が続出。クラブワーストとなる開幕7戦未勝利となった清水戦の翌日、3月20日に三浦淳寛元監督と契約解除し、翌日にヤングプレーヤーデベロップメントコーチを務めていたスペイン人のリュイス前監督の就任を発表しました。
暫定的にチームを率いたリュイス前監督の下でも、2試合で2敗。未だ開幕から9試合で0勝4分5敗と、長いトンネルから抜け出せない状況が続いています。
■スペインでタイトル獲得経験の名将を招聘
そのような状況で白羽の矢が立ったのがロティーナ新監督でした。ロティーナ新監督は、スペインのセルタやエスパニョールなどを率いて、カップ戦(スペイン国王杯)の獲得経験もある名将です。2017年にJ2・東京Vの監督として来日し、2年連続でJ1昇格プレーオフまでチームを導きました。2019年からJ1・C大阪の監督に。その2シーズンはJ1でそれぞれ5位、4位と好成績を残しました。2021年から率いたJ1・清水はシーズン途中で解任となりましたが、守備システムの構築に定評のある監督です。
会見に同席した永井秀樹SD(スポーツダイレクター)も「現状失点が多い中で守備の再構築を期待している。ヴィッセルのサッカーの哲学を変えるわけではなく、良い守備から良い攻撃を求めていきたい。」と話しました。
ヴィッセルは現在リーグ最下位の15失点で、守備の立て直しが急務となっており、ロティーナ新監督の長所が生かせるかどうか注目です。
また、チームを率いるキャプテンのイニエスタと同じスペイン出身ということで、スムーズなコミュニケーションを取ることが期待されます。
■短い準備期間でアジア制覇を目指す戦いへ
ロティーナ新監督率いる神戸は、J1リーグだけではなく、今月16日が初戦となるタイでのアジアチャンピオンズリーグの戦いも控えています。タイでは16日間の間に6試合もの試合が控えています。新監督就任から準備期間が短い中でハードなスケジュールをこなす上で、どのように戦術や雰囲気を変えていきたいか、という質問にロティーナ新監督は「短い期間でも戦術は説明していきたい。ACLは重要な大会で、大事にしながらも戦術的な面でのプレシーズンと捉え、チームを構築したい。」と答えました。
ロティーナ新監督の神戸での初戦は10日、ノエビアスタジアム神戸で午後2時キックオフの、かつてロティーナ新監督が率いたセレッソ大阪との一戦です。いきなり古巣と対決することについて「サッカーではよくあること。」と笑顔を浮かべながら答えたロティーナ新監督は「この2日間で攻撃面のコンセプトを練習やミーティングで説明したい。」と語っています。まずはこの試合でJ1リーグ今季初勝利を目指します。
(櫻井祐貴)