全国でデルタ株が猛威を振るっています。そのデルタ株の特徴やワクチンの効果について神戸大学の感染症内科医に話を聞きました。
(神戸大学医学部付属病院感染症内科 大路剛准教授)
個人的にはすでにワクチンなかったらもっとひどいことになっていたんじゃないかなと思うので改善した状態が今の状態じゃないかなと考えています。
これまで新型コロナウイルスの重症患者を診てきた神戸大学医学部付属病院感染症内科の大路剛准教授にデルタ株の特徴を聞きました。
(大路准教授)
感染した人がより多くウイルスを排出するということが言えると思います。(イギリス由来の)アルファ株になる前くらいの野生株に比べると、だいたい2倍以上感染しやすいことが疫学調査で分かっています。
高齢者のワクチン接種が進んだことで、ワクチンを打っていない若い世代の重症患者の割合が増えているそうです。
(大路准教授)
当然ワクチンを打っていない高齢者が重症化するよりも、ワクチンを打っていない重症化した中年層、若年層の方がまだ回復しやすいのでまだちょっと闘える。患者さんが闘って勝ってくれることがまだある。
デルタ株の特徴は子どもに感染しやすいことです。多くの学校で2学期が始まる9月以降に注意が必要です。
(大路准教授)
侵入しやすくなっているのではと言えると思います。ひとつはワクチンをまだ打てていないこと、もうひとつは今までのコロナウイルスよりか子どもであっても感染しやすくなる変異が入ってきていることが現象として起こっている。この2点で広がっていると思います。
学校で子どもさんがもらってきて、部活で。お父さんがうつってお父さんが不幸な転帰をとられるケースは周りでも耳にしていますし、子どもから大人への逆輸入というのはものすごくありうることだと思うんですね。
ワクチンの効果については、発症を阻止する効果がデルタ株では若干落ちるものの一定の効果が認められています。また、感染したとしても重症化も防ぐことができるそうです。
(大路准教授)
ワクチンでも抗体がつかない免疫の方もいらっしゃいますし、運が悪くて免疫がつかなかったということもあると思うので感染しうると思うんですが、大雑把に言えば、感染してもそこまで重症化しない、大丈夫だということは世界的に感染した人を見ていても言えると思います。
しかし、それは日本で流通している3種類のワクチンに限定されます。
(大路准教授)
旧来のインフルエンザウイルスの不活化ワクチンと同様の製造方法のシノバック。そういったワクチンではそこまでの阻止効果自体が野生株でも認められない。
ワクチンを打った人が感染した場合、無症状のまま他の人に感染させてしまうリスクがあります。デルタ株では、期間が短いものの、ワクチンを打っていない人と同様に大量のウイルスを排出するそうです。
(大路准教授)
デルタだとかかった直後はワクチンを打っていてもわーっと出ちゃうということはあるようですね。
軽症患者を対象に2種類の抗体を組み合わせて点滴投与する抗体カクテル療法については?
(大路准教授)
これに関しては理論的に効く薬だと思います。抗体療法 出来上がった抗体を入れる方がワクチを打って免疫がつきにくい人も出来上がった抗体を入れる分には関係がないので、多分両者をうまいこと使っていったらかなりコントロールできるんじゃないかなと思います。