障害者などへの強制的な不妊手術を認めた旧優生保護法を巡り、聴覚障害者らが国に損害賠償を求めた裁判で、神戸地裁は3日、原告の請求を退けました。
訴えを起こしていたのは、旧優生保護法のもとで不妊手術や中絶手術を強いられた聴覚障害者の夫婦や脳性まひのある女性など5人です。
障害者や精神疾患がある人への強制的な不妊・中絶手術を認めた旧優生保護法のもとでは全国でおよそ2万5000件の手術が行われました。
原告は1960年代に手術を受けさせられたとしていて、障害者を「不良」とみなす旧優生保護法は憲法に反し、子どもを生み育てる権利を奪われたなどと訴えていました。
判決で神戸地裁の小池明善裁判長は、原告3人が受けさせられた手術が旧優生保護法に基づくものだったと認定し、「障害者や疾患がある者を不良とする立法目的が非人道的」として憲法に反すると結論付けました。
一方で、手術は1960年代に行われたもので、損害賠償を求める権利が消滅する20年の「除斥期間」が経過していることから訴えを退けました。
全国9つの地裁と地裁支部で行われている一連の裁判で6件目の判決で憲法違反の判断が出るのは4例目です。