丹波篠山市で名物となっているハスの花が危機を迎えています 。そこで市が切り札として立ち上げたある試みとは・・
丹波総局「松本カメラマン」の報告です。
丹波篠山市のシンボル篠山城跡。
いまからおよそ400年前、江戸時代に建てられた城跡です。
いまのシーズンには南側の掘、一面に渡り咲くきれいなハスの花が名物となっていますが・・。
松本カメラマン「私は今篠山城跡の南掘りに来ています。以前はですねあたり一面をハスが覆いつくしていたという事なのですが、いまはごらんのとおり一部分のみ群生しているといった状態です」
篠山城跡の南堀に群生していたハスがいまのように数を減らしてしまったのは平成に入ってから。
2005年ごろにはほぼ全滅というほどにまでなってしまいました。
減少した主な原因の一つと考えられているのが外来種の「ミシシッピアカミミガメ」です。
丹波篠山市の農村環境課はこの「ミシシッピアカミミガメ」の対策に取り組んでいます。
丹波篠山市 菅原 将太さん「一番大きい被害は南堀一面に広がっていたハスの群落を消滅させてしまったことですね」
Q消滅って?
「そうですねきれいにまったくなくなりました」
「同じような事例が日本各地でありまして例えば佐賀県の佐賀城なんかでもお堀一面にハスが広がっていたみたいなのですが、そこもアカミミガメが新芽を食べて一時ハスが消滅してしまったと聞いています」
アカミミガメは食欲も旺盛、ハスはもとより元々暮らしていたニホンイシガメの食料や卵も食べてしまい、堀の生態系を崩した原因と考えられているのです。
市は一般の人が捕まえたカメを入れてもらうように「カメポスト」を堀の近くに設置しましたが効果はあまり見られません。
そもそも丹波篠山市の条例では許可なく生物を採集してはならないと定められていて簡単には堀のカメを捕まえることはできないのです。
ポストに入ったカメは市民がたまたま道で見つけたものが対象で、アカミミガメの減少には結びつきません。
そこで市が考えた新たな試みが「カメ捕獲体験講習会」です。
夏のシーズン、月1度開催されているこの講習会を受講すると一日だけ特別にカメを捕獲することができます。
約30分の講座で参加者は外来種が及ぼす生態系への影響や捕獲・駆除しなければならない理由を学びます。
個人的に講習を受講した松本カメラマン。
網をもってカメ捕獲に挑みましたが・・
松本カメラマン「いました!カメがいましたよ!」「大きいカメいますね。」「目がいいとのことでこの距離が限界いかも、オッ逃げちゃった」「ちょっと体を動かしただけなんですけど、逃げてしまいましたね」
警戒心の強いアカミミガメ。網で簡単に捕まえることができません。
そこで用意されたのがこちらの「日光浴ワナ」。
甲羅干しする習性を利用し周りにカメが上がりやすくなっていて内側に落ちると逃げられなくなります。
このワナさえあれば堀の外来種も一網打尽!・・・なのでしょうか?
松本カメラマン「すでにワナを引き上げる作業をやってもらい2時間ほどは経過しているのですが残念ながら一匹もカメは入っていませんでした。」
なかなか現実は厳しいようです。
丹波篠山市:菅原将太さん「一度生態系のバランスが崩れてしまえば完全に元通りというのはむずかしいというのが実際のところです。
アカミミガメをゼロにした事例というのは全国でもまだ報告されていないという事もありまして、ここの堀でもどのぐらい時間がかかるのか正直なところ全くわからないのです。
市民の皆さんの理解や協力をいただくことが大切かなと思います。
見学会・体験会を通してという機会を通してアカミミガメの駆除とハスの再生の取り組みについて考えていただければいいかなと思います」