【特集】兵庫県内唯一の取り組み 伊丹病院の手話通訳制度

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  • 伊丹病院での診療通訳の様子

  • 伊丹病院で通訳を担っていた江木洋子さん

  • 後輩の元を訪れた江木さん

  • 長男を出産した頃の伊藤さん

マスクを着用する生活が当たり前となって1年が過ぎました。
口元の動きや表情が見えづらいことで苦労しているが人たちがいます。
「特別がいつか当たり前になるように」と願いながらある取り組みで
安心をもたらす病院を取材しました。

手話で診療を通訳 兵庫県内で唯一の取り組み

伊藤明子さんは夫の博人さんと、3人の子ども
それに愛犬と伊丹市で暮らしています。
この日、伊藤さんは定期診療のため市立伊丹病院を訪れました。

伊藤さん:「病院で痛み止めのお薬を飲んでいるんです。今飲んでいる薬と合わせて飲んでも大丈夫ですか」
医師:「痛み止めのお薬の名前はわかりますか?今もらっている血圧の薬と一緒に飲んでも大丈夫ですよ」

伊藤さんと医師の会話を通訳するのは手話通訳士の資格を持つ職員です。
伊丹病院は、手話通訳士の資格を持つ職員がいる兵庫県内で唯一の病院です。

元看護師の江木洋子さんは約40年前に聴覚障害者の診療の通訳を始めました。
耳が聞こえない両親のもとで育った江木さんは
当事者が疎外される現状に疑問を抱いていました。
江木洋子さん
「聞こえない方がお母さん、子どもさんも聞えない方で。通訳におばあさんがついてこられていて先生とおばあさんがお話しされるのを見ていて心配そうに何を話しているんだろうという顔ばかり。聞こえない人にちゃんと自分で判断してほしいと思いながら通訳していました」

「絶対に絶やさない」 受け継ぐ手話通訳制度

以来、様々な科からの通訳依頼が寄せられ、
1994年には病院内に手話サークル「たんぽぽ」が結成しました。
江木さんが6年前に定年退職した後は、後輩たちが活動を引き継ぎました。

手話通訳士の資格を持つ矢野智子さん
「絶やしてはいけないと思っていますし、聞こえない人が自分のこととして考えてもらわないといけないそのお手伝いを通訳者がしている 絶やしてはいけないと思っています」

特別から当たり前に 聴覚障害者が願う診療の未来

伊丹病院のように手話通訳士が常駐する病院でなくても
現在は利用者が依頼すれば通訳者の派遣は可能です。
しかし、伊藤さんが長男を出産した頃は情報がなく、1人で通院していました。

伊藤明子さん
「9か月の時にお母さんと一緒に来てくださいと言われたけれど理由がわかりませんでした。先生とお母さんは2人で話すけれど内容は私にはわかりません。私は自然分娩すると思っていましたが帝王切開になりました。生まれる前に先生から説明が欲しかったと思っています」

伊藤さんは、月に一度、手話サークル「たんぽぽ」のメンバーとオンラインで交流しています。
自分たちの言葉が1人でも多くの人に伝わるようにという思いからでした。

伊藤明子さん
「コロナウイルスが心配だけどみんなの顔を見て元気だとわかる。わたしが教えたことを覚えてくれるとうれしい」

医師:「そしたらまた3か月後でいいかな」
伊藤さん:「わかりました」
医師:「お大事にね」

伊藤明子さん
「診察も通訳してもらえるし本当に安心。手話は本当に便利できっちり内容も分かったコミュニケーションもしっかりできて通訳がいたら本当にうれしい 安心します」

当事者を置き去りにしない。
この取り組みが特別なことではなく、当たり前のように広がっていくことが伊藤さんたちの願いです。

 

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