ピンポイントでがん細胞を破壊するがん光免疫療法が兵庫県内で初めて神戸大学医学部付属病院で行われています。
4月23日、神戸大学医学部付属病院でがん光免疫療法を受けたのは、西宮市に住む73歳の口腔がんの男性患者です。
男性は2012年からのどや頬などのがんに対して手術と放射線治療を受けていましたが、再発を繰り返し従来の方法での治療は難しい状態でした。
がん光免疫療法は保険が適用され、光を当てることでピンポイントでがん細胞だけを破壊。 対象は、頭頚部がんといった一部のがんに限られていて、今回は、右の頬の腫瘍に対して行われました。
患者には、事前にがん細胞の表面にくっつく抗体薬を点滴します。 近赤外線という光を照射すると、薬が化学反応を起こしてがん細胞が死滅。 さらに、免疫細胞が活性化することで他の転移した部位のがんにも効果が期待されています。
この治療法は、兵庫県西宮市出身でアメリカ国立衛生研究所の小林久隆主任研究員が開発し、2020年9月、世界に先駆けて日本で承認されたばかりです。
四宮弘隆特命准教授によりますと臨床試験の段階で効果が見られたのは4割ですが、まだ30例ほどと少なく症例を重ねていく必要があります。
治療後、男性は、光を照射した部分に痛みなどの症状が見られましたが、5月13日、男性患者のCT画像から腫瘍の7割が壊死していることが分かり、5月21日に2回目の治療を受ける予定です。