淡路島の医療 常に満床で危機感  ~島の中核病院の院長と現場の医師が語る~

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助かる命が助からない危機的な状況に陥っている兵庫県内の医療についてです。
神戸など阪神エリアに限らず、淡路島でも感染が拡大し医療がひっ迫しています。

島の中核病院の院長と現場の医師が語る現状とは?

ゴールデンウイーク期間中、帰省客や観光客で渋滞が発生した淡路島。約13万人が暮らすこの島でも新型コロナウイルスの感染者が4月から急増しました。

県立淡路医療センター 野村哲彦血液内科部長
「(4月21日~27日は)淡路島も阪神間に匹敵する人口10万人あたり60人近い数が出ていますのでかなり病棟も手一杯で入院できない方も発生しているような状況でした。」

441床の病床を有する島唯一の感染症指定医療機関 県立淡路医療センター。心臓血管外科やがんの手術などすべての医療を担う島の拠点病院でまさに淡路島の最後の砦です。鈴木康之院長とコロナ対応にあたる野村哲彦医師にリモートで島の現状を聞きました。

県立淡路医療センター 野村哲彦血液内科部長
「第1波、第2波の時は、無症状でも隔離目的で入院されている方もたくさんいらしたんですけども、今回はもうほとんど入院される方は全員酸素が必要な方で、鼻から特殊な酸素を吸入するような人工呼吸器が必要な方ばかりで、それなりに重症度が上がっている。」

従来の医療を大幅に縮小。当初4床だったコロナ病床を14床に増やしましたが、常に満床の状態が続いています。

県立淡路医療センター 野村哲彦血液内科部長
「コロナの病床を診るために看護師の配置換えをしておりまして、病棟の半分を崩していきますので、入院患者さんの数も制限せざるをえないし、手術の方の件数も7割減らしてくださいということで対応させてもらっています。」

重症病床は2床。ことし2月までは、阪神エリアなどから重症患者を受け入れてきました。
しかし、今は逆に島外の病院に受け入れを要請する立場に。受け入れ先は見つからず、島の限られた医療資源で対応するしかありません。

県立淡路医療センター 野村哲彦血液内科部長
「この連休中は2床とも人工呼吸器つながった方がいまして、きのうも人工呼吸器を離脱できた方がいたんですけども、またすぐに人工呼吸器がつながるような方が入ってきた。連休中、島内で自宅待機している方が100人弱いらしたので、その方たちが悪くなった時のために少し病床を空けてはいたんですけどもすぐ埋まってしまうような状態。」

「兵庫県全体でみると助かる命が助からない状況になっているのが現状です。」

県立淡路医療センター鈴木康之院長
「淡路島ももう少し事態が深刻化するとすぐにでもそういう状況になる。そういう危機感は強く持っています。十分自粛していただかないと。淡路島が大丈夫ということは決してございませんので。その辺りを皆さんに訴えたいところです。」

淡路島では、家庭内や職場内でクラスターが発生。島外からの感染者と会食などを通して、家族や友人に感染している傾向があります。島の医療の最後の砦と言える県立淡路医療センター。島外への搬送が厳しい今、限られたスタッフ、病床でのギリギリの状態が続いています。

淡路島3市(淡路市・洲本市・南あわじ市)の市長と淡路県民局長は、4月28日に共同で淡路島緊急事態宣言を出し、島民に感染対策の徹底を呼び掛けています。

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