伝え つなぐ あした~震災教育の現在地~

2023820日(日) 21:24

「語り継いで終わりでいいのかな?」
教諭の井口知奈美さん(29)は、震災を忘れずに語り継ぐ意味を子どもたちに問いながら、自らにも問うていた。
この日、6年生と井口さんの震災学習が始まった。6434人の命を奪った阪神淡路大震災。児童8人が犠牲となった精道小学校では、震災を忘れないために児童から児童へと語り継ぎを続けている。震災学習の集大成ともいえるこの学習を主導することになったのが、学校独自の「防災担当」となった井口さんだった。

震災当時1歳だった井口さんは、父と母とともに神戸市須磨区で被災。両親の判断で幼い井口さんだけが親戚に預けられ両親と離れて暮らしたが、覚えていることはほとんどない。
28年の時を経て、井口さんは初めて知る自らに対する親の思い、大切な人を失いながら、支え合い生きてきた人々の強さを知った。ともに震災を学んだ日々は子どもたちのこれから先の人生にどう生かされていくのだろうか。1月17日の追悼式を終えた井口さんと子どもたちが歩む卒業式までの日々を追った。