CSへ向かう一勝

いつものように、午前中に球場入りして走り込んで、いつものように、午後からの全体練習に参加して試合に備えたが、ひとつだけ、5分間だけ、この日は違った。
広報さんを携えて報道陣に対して自らの言葉で、鳥谷が語った。

29日に、球団の方から引退してくれないかと言われたこと。
自分が持っている選択肢は、引退か、戦力外を受け入れて他球団のオファーを待つか、どちらかだということ。
球団からの報道が出てしまったので、ファンには今年限りでタイガースのユニフォームを脱ぐという事を伝えたかったということ。
残り試合はCSを目指してチームに貢献していくということ―

〈8/31 阪神 4-2 巨人 (甲子園)〉

勝:ドリス
S:藤川
敗:山口

打順が下位に向かう2回裏。
糸原がワンバンをバットに当てて内野安打とすると、北條がバントを決め、高山がライト前ヒットでチャンスを広げた。二走糸原にはここでホームを狙う走塁をしてほしかったが、梅野のうまいヒットで還ってこれたので救われた。
さらに一死1,3塁。打順は西に回ったところで、スクイズを敢行して2点目をもぎ取った。
失敗には終わったが二走梅野が三盗を試みるなど、下位打線でも積極的に動いた。
やればできんじゃねーか(笑)

このあと同点に追い付かれたが、西も悪いなりに踏ん張って、今季規定投球回に到達。
“昨年のタイガースの日本人ピッチャーでは誰もいなかった”という恥ずかしい事実を西から改めて思い知らされ、西よ、ありがたいけど、傷ついたぞw

2-2の同点のまま、7回裏。
この回は打順が9番のドリスに回る。
ネクストには鳥谷が控えていたが、梅野が空振り三振に倒れたため、一発長打を期待された中谷が打席へ向かった。
その中谷への4球目。外ストレートは失投だったが、強くしっかり振り抜いた。
入れ入れと後押しする大歓声の中、打球はレフトスタンド目がけて伸びていって、入った!!やった!!中谷!!
ランナーが出たら鳥谷。そうでなければ中谷だという、矢野監督の明快な采配もよかった。役割が決まっているから選手だって気持ちが入る。前夜はそれがあやふやだったから負けた。鳥谷だって納得しているはずだ。

お立ち台の中谷はこう言った。
「昨日チャンスをもらった中で結果を残せなかったので、今日は何としても打ってやろうという気持ちで入りました。」
中谷が「鳥谷さんのため」なんてこと口にしなくて心から安心した。
中谷は中谷のために頑張らなきゃいけないから、それでいいのだ。

そして8回表に登板した岩崎。
打順は前夜、2ランを打たれた丸に回る。勝ち越したとはいえ点差は1点だ。
リベンジをさせたベンチの英断といっていい。
「(昨日)試合が終わってから次はどうやって打ち取ろうってずっと考えていたので」と岩崎は言った。選手の悔しい気持ちを晴らしてやることは最優先でやってほしいし、何より、その起用に応えた岩崎が素晴らしいピッチングだった。
投げるボールはそんなに速くないのに、詰まらせてレフトフライに打ち取った。
岩崎、めちゃめちゃかっこよかった。

試合に勝った。
大きな、意味のある一勝だと思う。

「中谷のホームランも、岩崎優のリベンジも、自分が最後投げたのも、全てタイガースファンのためにやっているのでまた応援よろしくお願いします」
球児がお立ち台で締めた言葉だ。
鳥谷のことで思うところがあったのだろう。
チームはCSに向けて戦っている。鳥谷もまだその一員だ。
鳥谷は今、今まで以上に自分を取り沙汰されることに心を乱すだろう。球児はよく知っている。
だからこういう表現で鳥谷の気持ちを代弁したかのような球児の行動にちょっと泣かされた。

私、鳥谷のことで弱ってんだよな(笑)

[今日のマルテ]

ヒットなかった4打席目。二塁打でチャンスメイク。
ベンチで大きくガッツポーズする坂本に応えてマルテもガッツポーズ。
そうすると坂本は、代走だよ!と伝えるジェスチャー。
あんまりだ(笑)

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