〈11/1 阪神 4x-3 オリックス(甲子園)〉
勝:岩崎
敗:ワゲスパック
大博打、だと思った。
岡田監督も、そして中嶋監督も最高にクレイジーで、そして素晴らしい名勝負を見せてくれたと思う。
湯浅がベンチ入りしていたのは周知の事実。
だが、あんな場面で湯浅を投入するなどと誰が思っただろう。
6月15日のオリックス戦。
湯浅は2本のホームランを打たれ、敗戦投手となった。
登録抹消となった湯浅の復帰登板は故障もあってシーズン中には叶わなかった。
今日。3-3同点で迎えた8回表。
イニングまたぎの石井から島本、二死1,3塁となったところで、岡田監督はあの日のオリックス戦以来一度も一軍で投げたことのない湯浅を送った。
でも岡田監督はリスクよりも、湯浅を信じ、しかも球場の雰囲気を一変させるところまで見ていた。
甲子園と、ここに集まったファンを熟知している監督だからこそできる采配だった。
WBCでは打たれた湯浅だったが、あの世界の大舞台の経験は、ここ日本シリーズのためにあったのかとさえ思った。
バッターボックスにはこの日エラーを記録してしまい打ち気にはやる中川圭太。
坂本の出したサインは「真っ直ぐ」。
湯浅は落差のある素晴らしい149キロのストレートを坂本のミットめがけて投げ込んだ。
フライになったボールをセカンドで待ち受ける中野がグラブを上に出した画は、優勝の瞬間かと錯覚したよ。
湯浅ー!おかえり!
湯浅のいなかった時間が巻き戻って急に長く感じた。本当におかえり!
9回裏。一死から近本が四球で出ると、二つのバッテリーミスで近本は3塁へ。
ここで中嶋監督は、中野と森下の二人を申告敬遠。
一死1,3塁で大山との勝負を選んだのだ。
でも中嶋監督が大山を舐めたとも思わない。これがチームを三連覇に導いた将の勝負手だったということだ。
対する大山。
この日も内野ゴロの間に打点こそあげたがノーヒット。
目の前で打者二人を敬遠された4番の心境、本当のところはわからない。
だけど大山がずっとずっとそうしてきたように、冷静であることに努めた。
ボールも見えていた。
昨日も最後は大山だった。一打同点の場面、平野のフォークに空振り三振。
打てなくて責任を背負い、そして今日この打席に立っているのだ。
きっと大山自身は四球でもなんでもよかった。チームが勝てるなら。
7球目。インハイへのストレート。
肘をたたみ詰まらされながら、でも振り切っていた。
打球は三遊間を抜けて、サヨナラヒットになった。
ホームへ生還した近本とネクストの原口が抱き合って、ベンチから水しぶきをあげながらみんな飛び出して、笑顔で抱き合って、植田海は盛大にコケていて(笑)。
今日もいくつかのミスがあった。
佐藤輝明は途中で交代。でもベンチで声を張った。
代わりにサードの守備に就いたのは糸原。
7月以来の久しぶりの守備にも、「準備はできていた」と当然のことのように言った。
先発の才木は苦しみながらもリードを守って後ろへ繋いだ。
同点打を許した桐敷が歓喜の輪の中で涙を見せた。なんでだよ。桐敷のおかげでここまで来れたんだぞ。
ランナーを2塁まで進めても、無失点で9回といういつものイニングを投げた岩崎が勝利投手に。
日本で一番最後まで戦うのに相応しいチームになった。
心が震える感動と興奮をこんなにもたくさん、ありがとう。
[今日のノイジー]
とにかくもう、ありがとう!(涙)