2杯目「山田酒販」

「店主は筋金入りの鉄ちゃんだったが」

元町商店街の4丁目、浜側の遥か先に神戸ポートタワーが見える場所に立つ。
ちょっと南に下れば、こんなところにという風情の酒屋の立ち飲みがある。山田酒類販売のこぢんまりした立ち飲みの空間だ。袖触れ合うも多生の縁という格言があるが、まさに袖が触れ合う。

創業は戦後間もなくのこと、現在は三代目の山田崇史さんが暖簾を守る。お昼なら空いているかと戸を開けると、足の踏み場もないくらい混んでいた。前方に目をやれば、月曜日「平城」、火曜日「次発ももとうめ」、水曜日「次次初吟生」と鉄道の発車時刻表を模したオススメの酒のメニューが見える。

壁にも阪神三宮駅から繋がった近鉄の路線図が描かれており、近鉄沿線で見つけた美味しい地酒のメニューになっている。どうやらご主人は筋金入りの鉄ちゃんであることが分かった(もっとも本人は鉄ちゃんを否定)。

感心していると「店の方へ行ったらもっと凄いで」と、常連さん。そこで酒売り場に回れば、足元の床一面に線路図が描かれていた。「もうちょっとしたら、ここまで伸びて完成や」と、山田さんは自慢げに言った。いやあ、趣味を商売に生かすとは、恐れ入りました。

ここまでの話はつい3年前までのことである。何年ぶりかで「神戸角打ち巡礼」の一環で訪れたところ、店が改装されて5、6人も立てば満席だった角打ちの空間が広々としたものに様変わりしていて吃驚仰天したのだった。

鉄ちゃんの面影はなくなり、きれいにリニューアルされた店内


スタッフの話によれば2016年5月から今の姿になり、テーブルも2席用意され20名以上収容できるようである。かつて何か名物ありますかと問えば「ゴキブリ」と答えた店主、「はよ止めたい」が口癖だったはず。三代目店主に何か心変わりでもあったのか、角打ちに本腰を入れた心意気が伝わってくる。

牛スジ煮込みは欠かせないアテ

さて、メニューの多さは以前のままである。生ビールにアテは枝豆と牛スジ煮込みを注文。更にTaKaRa焼酎ハイボールと懐かしいハムカツを注文した。

元町商店街の店仕舞いは早いが、ここ山田酒販は夜8時まで開いていて重宝できる。実際、浜で仕事をされる方、競馬ファンの方などが朝から一杯で、夕方からはサラリーマンの方がグループで通ってくる光景を目にする。

「山田酒販」
神戸市中央区元町通4-1-6
TEL 078-371-3737
営業時間
平日9:00~20:00
(12:30~14:30は店内清掃のため一時休店)
土曜、日曜9:00~18:00
定休日 祝日

元町商店街から山田酒販へ

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