21杯目「御影旨水館 立呑み処 銀狐」

阪神御影駅前の立ち飲み御三家のひとつ

阪神御影駅界隈は、かつては串かつ屋台「いくちゃん」や「ライオン堂」、「大黒」、駅南の角打ち「美よ志」と味のある飲み処が少なくなかった。「いくちゃん」が店を畳んだ現在、2012年8月創業と歴史こそ最も浅いが、御影市場の旨水館内にある「立呑み処 銀狐」と「ライオン堂」、「美よ志」が立ち飲みの御三家ではないかと筆者はひそかに思っている。

今回はこの銀狐に開店時間の午後4時半に訪問させてもらった。銀狐とはどのような立ち飲みなのか、店のホームページを引用させてもらうと
《毎日が昼網。和食の板前とフレンチのシェフの美味しい競演。灘の御影郷と魚崎郷の日本酒とワインから海外ビールまで様々なジャンルのお酒。活きの良いお魚を揃えて美味しいお酒を飲みながら旨い和食と創作料理を楽しんでいただける「たちのみ」を目指していきますのでどうぞよろしくお願いします》
と言うことだ。

JR住吉駅前でカフェとバーも経営しているオーナーの寺島信子さんに、立ち飲みの店を開いた動機を聞いてみた。 「市場に立ち飲みがあれば、大人には面白い場所になるのではないかと思ったんです。市場に近い人たちが気軽にハシゴ酒をしたり、立ち飲み文化に触れたりして楽しむことができるのではないか」との思いからだと言う。

開店から一時間半まで注文できるワンコインサービス(ビール、樽ハイ、ハイボール、グラスワイン、焼酎・日本酒の一部、ソフトドリンクの中から一杯と、おまかせ三種)で、まずは乾杯することにした。今回は盛り上げるために駆け付けてくれた友人と寺島さんも一緒にテーブルを囲んで賑やかなスタートである。
多少寒くなったとは言え、冷たい生ビールはうまい。おまかせ三種には刺身も付いて、いい塩梅だ。

時間の経過とともにお客さんも増え始める。年齢層は若い人から年配の方まで幅広く、立ち飲み初心者や女性客が入りやすい雰囲気を醸して出している。実際、女子会にもよく利用されると聞く。閉店時間が遅いので、残業があるような日でも立ち寄ることができる利便性もある。

隣のテーブル席の女性二人連れに銀狐の魅力を聞いた。「おいしい、安い、酒の種類が多い。そして高齢になっていても来やすい」と絶賛した。銀狐はお洒落な佇まいの立ち飲みなので、若い人向けと思われがちだが、かつて若者だった人も来やすいというのは、とても重要な意味を持っている。

友人が来てくれたのでビールが進む。もう3杯はお代わりしただろうか。和食の板前さんとフレンチのシェフが腕を競うおいしいアテを追加しよう。刺身三種盛り、アボカドスライス、鯛のカルパッチョと立て続けに注文、どれもおいしい。

和食の板前さんとフレンチのシェフにも話を伺った。「酒が主役。難しいものは避けて皆さんがよく知っているメニューをお出しするように心掛けています。おいしいと言ってもらえると、やはりうれしいですね」と二人は口を揃えた。

地元の酒を取り揃えている銀狐で日本酒を飲まない手はない。筆者は仙介を、友人は道灌のにごり酒を追加した。カメラの福田さんは写真撮影に忙しいが、ちゃんと酒は楽しめただろうか。
時間もかなり経過し、お客さんも随分と多くなった。そして酔いも回ってきた。無事に帰宅できるか心配でもある。

最後に寺島さんにお客さんへのメッセージを頂戴した。「御影郷、魚崎郷のお酒をぜひ楽しんでいただきたいし、お酒が飲めなくても料理を楽しんで欲しい。ここで知り合った飲み友達と、よその店に行ってもいいんです。銀狐がその中の1軒になれば」と話す。

自分の店だけが繁盛すればいいなんてけちなことを言わない。これも銀狐の魅力の一つだろう。この姿勢は店内や近隣のお店と一緒に行うイベントにもよく現れている。訪問したときは第5回御影バルの直前だったが、寺島さんはそのイベントの実行委員長の大役もこなして多忙な毎日だった。お客さんや同業者からの信頼が厚いことの証と思われるが、益々の繁盛を祈って止まない。

来週からは魚崎郷のある阪神魚崎駅周辺に移動する。これからも乞うご期待!

「御影旨水館 立呑み処 銀狐」
神戸市東灘区御影本町4丁目12-17 御影市場 旨水館内
TEL078-855-7727
営業時間
月曜~土曜 16:30-23:30 (L.O 23:00)
日曜 15:00-22:00 (L.O 21:30)
定休日 なし

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