第15回 私の記憶に残るあの試合① ~2016年7月30日 福留選手サイクルヒット~

中日 0 0 0 0 0 1 1 0 0 2
阪神 0 1 0 1 3 3 0 0 X 8

中継車Dをはじめてまだ3、4試合目だったでしょうか。一応勝ちパターンや負けパターンの中継も経験し、番組の進行というのは指示できるようになってきたつもりでした。ただ、この場面でこのカメラにどうやって撮ってほしい、とか、この映像を撮りたい!とかいう指示を出すことはなかなか遠慮してしまい、スイッチャーさんやカメラマンさんは「どういう風に撮ればいいのだろう。」と迷っていたのではないでしょうか。

そんな中迎えたのがこの試合です。この日は4番の福留選手が絶好調!2回ウラ、第一打席に吉見投手からライトへホームラン。4回の第二打席はセンターへシングルヒット。5回の第三打席はライトへタイムリースリーベースヒット!そして6回ウラ、2アウト満塁で迎えた第四打席、球場のボルテージは最高潮です!

もちろんみなさんはなぜ盛り上がっているのかお分かりですよね?このチャンスの場面で福留選手がツーベースを打てば自身13年ぶり2度目のサイクルヒット達成となるわけです。

ただし、中継車Dの私はその事実に完全に気付いてはいませんでした…。今でこそメモをつけ、試合の流れを理解しようとしていますが、当時は目の前の1プレーずつをどのように中継を進めていくかに必死すぎて、福留選手が3安打を打っていることも、サイクルヒットがかかっていることもその打席につくまで考えもしませんでした。

打席に入るときに②カメさんが電光掲示板の「今日の成績」を映してくれました。そこで「サイクルヒットがかかった打席やん!」と気づいたわけです。お恥ずかしい限りです…。しかもそれを実際映したのは1球目を投げた後、実況アナウンサーはコメントしていましたが、映像で見せるのが遅れてしまいました。そして2球目、打球はレフトオーバー!3点が入り福留選手は2塁へ!見事サイクルヒット達成です!
⑦カメさんの喜ぶお客さん、③④カメさんの福留選手の表情、⑤カメさんの「祝 サイクル安打」の電光掲示板、視聴者の方々も盛り上がっていたと思います。

虎ギャル応援日記より(リンクはこちら)

しかし、私にとっては後悔だらけの映像となりました。ここにディレクターの指示は反映されていないから、というか、ほとんど何も指示できていなかったからです。「サイクルヒット打った!すごい!どうしよ!」という感じだったのです。

福留選手がタイムリーを打ったということは重要ですが、それがツーベースなのかどうかでサイクルヒットかどうかが決まるのです。映像では何が必要だと思いますか?福留選手が二塁ベース上にいるということを映像で見せないといけません。ですが、実際に映した映像は、福留選手のアップの映像です。そこが2塁ベースかどうかわかりません。あと、3点タイムリーだったので⑥カメでのホームインの様子を映していましたが、3点目のランナーがホームインするまで時間があったので、そのときに②カメなどで福留選手の位置を見せることができたはずです。そこの指示も全くできていませんでした。

あと、福留選手のアップを長く映しすぎた、というのもあります。バチバチ映像を切り替えまくるのが良いわけではないですが、例えばこの日の対戦相手・ドラゴンズの大島選手はこの試合の10日前にサイクルヒットを達成していました。そして福留選手の偉業に拍手を送っていたのです。「最近大島選手もサイクルヒットを打っていたな。」と自分が気付いていれば、どこかで大島選手と福留選手を対比した映像を撮れていたはずです。そのあたりも私の考えの甘いところでした。お客さんや、他の祝福するタイガースの選手や金本監督を絡めた映像ももっと撮れたはずです。

いかに試合を「線」ではなく、その場しのぎの「点」で見ていたか…。このときの自分に会ったら問い詰めてやりたい気持ちです。技術スタッフさんは、中継が終わった後に撤収を行い、最後に反省会を行っています。ディレクターはあまりその場にはいませんが、せっかく良い映像をたくさん撮って下さっていたスタッフに、さすがにその日は申し訳ないと思い、撤収後まで球場に残り、最後の反省会に出て色々なご意見を伺いました。

長年『サンテレビボックス席』に関わり続けているスタッフでも、サイクルヒットの中継は初めてだったそうです。「もっとこんなことやあんなことができたのに。」という思いをみんな持っていました。そのときに言われた言葉は今でも忘れていませんし、その気持ちを大切にして今後も中継に臨みたいと考えています。

昨年、サンテレビ開局50周年を記念して「サンテレビボックス席展」が行われていました。そのときに「名場面集」と題した映像に、この試合の映像が使われていました。それを見て恥ずかしさや悔しさが沸き上がりました。次にいつこのような大記録に立ち会うことができるのか、そのときには気持ちのこもった映像を映したいです。
次回も「私の記憶に残るあの試合」と題して、次は時間管理を誤った結果、ある選手の活躍を映すことができなかったという私の後悔を書かせていただきます。お楽しみに!と言っていいのかわかりませんがお楽しみに!

Posted in コラム | 第15回 私の記憶に残るあの試合① ~2016年7月30日 福留選手サイクルヒット~ はコメントを受け付けていません

第14回 サンテレビボックス席ディレクターの裏側は?⑩ ~中継車ディレクターのお仕事~

2016年6月18日、甲子園球場でのタイガース対ホークス、デーゲームの試合が私の『サンテレビボックス席』中継車ディレクター(以下中継車D)としてのデビュー戦でした。スポーツ部へ異動となって3年目のことです。それまで100試合以上本社DやFDを担当して中継車Dの声もインカムを通じて聞いており、中継の流れも分かっているつもりでした。もちろん先輩ディレクターからもアドバイスをいただいておりましたが、当日の試合前には「どうしたらいいんやったっけ?」とか「できるんかな…。」とか緊張から来るネガティブな思考だらけだったのを覚えています。

それだけ中継車Dの責任というのは大きいわけです。視聴者の方々がご覧になる映像はすべて中継車Dとスイッチャーの責任で選んで映っていますし、カメラマンが何を映すのか、というのも中継車Dの指針によって撮って下さっています。どのタイミングでCMへ行くのか、いつ効果的なリプレイVTRを出すのか、いつ中継を終わらせるのか、などすべてディレクターの裁量です。

「ディレクター(director)」というのは「管理者」や「監督」など指導者を意味する言葉です。その語源は「ディレクション(direction)」からくるのですが、「方向」を意味するこの言葉、まさに「番組を方向づける」役割がディレクターには求められるのです。

先輩ディレクターから『サンテレビボックス席』の中継車Dをするにあたっては、以下の原則を教えていただきました。

①スコアブックを書ける中継を!

プレーボールからゲームセットまで中継する『サンテレビボックス席』。スポーツ中継の鉄則である「起承転結」をしっかり見せることにこだわっています。全投球を見せ、どこにボールが飛んで、どういう結果になったのか。これが分かるものにしよう、というのが大原則です。CMがイニング間にしか入らないのもこのためです。となると、ホームランのあとにリプレイVTRを多く入れすぎると、次の投球が始まってしまうので、それには気をつけないといけない、というのもあります。

②主語はタイガース!

サンテレビの視聴エリアはご存じのとおり兵庫県と大阪府全域が中心となっています。タイガースファンが圧倒的シェアを占める地域柄、もちろん私も20年以上のタイガースファンです。相手チームへのリスペクトは忘れないうえで、タイガースの攻撃時は打撃を中心に、守備のときは投手や守備の話を中心に行います。勝っていれば「もっと!」と盛り上げますし、負けていても咤激励できるような映像づくりが求められます。

③とにかく声を出せ!

スタッフはそれぞれ色々なところにいます。8台のカメラの映像など、全ての情報がわかっているのは中継車の中にいるディレクターだけです。今どういう状況なのか、何を映したいのか、どう中継を方向づけていくのか、というのは中継車Dのインカムの指示が非常に重要です。常に声を出し続けて、指示する必要があります。タイガースがピンチのときには「〇〇投手がんばれ!」というだけでもそのように盛り上げた映像を撮ってくれます。

もちろん他にも色々ありますが、これらが口酸っぱく言われたことです。基本的なことですが、今でも自分が中継車Dをしていて迷ったときには、この原則を思い出すと、中継を立て直すことができます。

話は戻ります。私のデビュー戦となった試合はメッセンジャー投手と千賀投手の投げ合いでした。試合前の打ち合わせでは、両先発を軸とした中継にしよう、という話をしたことを覚えています。
そのとおり両投手とも素晴らしいピッチングでした。3回表にホークスの今宮選手のセーフティスクイズで先制されますが、それ以外をメッセンジャー投手は完璧に抑え、8回を投げて4安打1失点9奪三振の好投です。しかし、千賀投手もすごかった…。8回を2安打無失点13奪三振の大活躍…。9回もサファテ投手に抑えられ、0対1の完封負け。試合時間も2時間29分と超ハイペースでした。

ヒットも少なく、両チームチャンスがなく非常に中継としては盛り上げづらい試合でしたが、ピッチャーがとても素晴らしかったので、彼らをフィーチャーするだけで、息詰まる中継が表現できたとは思っています。ただ、得点など映像のパターンを表現する場があまり無かったですし、負けゲームのため試合が終わればあっさりと中継を締める、ということもあり、先輩からも「ええ試合やったけど、中継車Dとしてはあんまり勉強にならん試合やったな。」と笑いながら言われたことを覚えています。

そこからは中継車Dのローテーションにも入り、いくつか試合を担当させていただくこととなりました。はじめは緊張しかありませんでしたが、今では「もっと中継車Dの試合が増えたらいいな。」と思うようになり、中継車Dの仕事は非常に楽しいです。
ただ、今でもそうですが、「今日の自分は完璧やったな!」と思う試合など1試合もありません。いつも中継が終わった後や、VTRを見返すときには「なんであれに気づけなかったんやろ…。」「もっとこんなんできてたやん!」とか反省ばかりで自己嫌悪状態に陥ります(笑)。日々精進ですね!これからも頑張ります。

次回からは「私の記憶に残るあの試合」と題して、中継車Dを務めるにあたって思い出の試合をいくつか紹介させていただきます。とは言え私の反省ばかりになってしまいそうですが…。こういう目線での試合の楽しみ方もあるんだな、と参考になれば幸いです。お楽しみに!

Posted in コラム | 第14回 サンテレビボックス席ディレクターの裏側は?⑩ ~中継車ディレクターのお仕事~ はコメントを受け付けていません

第13回 サンテレビボックス席の要!カメラ位置は?

みなさんがご覧になっている野球中継は何台のカメラで撮られているのか、考えたことはありますでしょうか?放送局によってカメラ台数は異なりますが、サンテレビの甲子園球場での野球中継では、7台の有人カメラと1台のリモートカメラで試合を追っています。多いと思いますか?少ないと思いますか?

私がこの台数で撮られているんだよ、と教わったときには「少なっ!」と思いました。なぜかと言うと、私自身いつも中継を見ていると、多くの選手がベンチ裏にいてもグラウンドのどこにいても映っていますし、お客さんの様子まで撮られているので、それだけの動きをフォローするためには十数台のカメラが必要なのでは、と思ったからです。プロのカメラマンさんの観察眼やディレクターの指示は本当に的確なんだな、と手前味噌ではありますが印象に残っています。

それでは、それぞれのカメラを紹介していきましょう!

【①カメ】


打者への投球をとらえるメインカメラです。ピッチャー(P)と、キャッチャー(C)が映っている、「PC」と呼ばれる画角が基本サイズです。昔はキャッチャーのサインが映ってしまう!ということで許可されていませんでした。今では考えられないですね。

【②カメ】


・打球が飛ぶと、必ずこのカメラでフォローするので「球追いカメラ」と呼ばれています。走者や、守備位置を映す大事なカメラですので、ここはベテランやエースカメラマンが担当しています。

【③カメ・④カメ】


・それぞれベンチ横のカメラピットと呼ばれるところに位置しています。③カメでは、打席に立つ右打者をアップで撮影し、3塁走者や3塁側ベンチの選手も捉えます。逆に④カメでは、左打者のアップと、1塁側のベンチなどを撮ります。③カメ・④カメともに息を合わせて動き回って、応援する観客の様子など様々な場面を映します。

【⑤カメ】


・投手の様子を正面から捉えます。投球フォームの話になったときなどは⑤カメのVTRが大活躍します。抑えたときや打たれたときの表情なども、⑤カメは非常に有効です。

【⑥カメ】


・三塁とホームベースを結ぶ三本間のラインの延長線上にあるため、迫力あるホームインを映すことができます。これはサンテレビの独自のカメラ位置です。タイガースが勝利した後の監督インタビューには⑥カメのカメラマンさんが移動して撮影するため、タイガースがリードしているときの試合終盤にはここは無人になります。

【⑦カメ】


・逆方向から打球をフォローして、打球のスタンドインや、バックホームまでをワンカットで捉えることができるため、「ホームランカメラ」と呼ばれています。過去にタイガースには掛布選手やバース選手のような、左の強打者がいましたので、そのスイングをきれいに映すことができるようにライトスタンドに置かれた、という経緯があるそうです。⑦カメの目の前にはライトスタンドの大応援団も見えます。

【⑧カメ】


・銀傘の上から打席に入る打者や、バントに対する内野手の動き、盗塁する走者など、スタンドからは観られないシーンを映します。これは中継車でリモートコントロールされています。

以上がサンテレビボックス席の甲子園球場でのカメラ位置です。カメラマンさんなど技術スタッフは、中継が終わってから機材の撤収に取り掛かります。きれいに梱包し、中継車などに積むため、1~2時間ほど撤収にはかかります。13時に球場入りしてからおよそ23時ごろまでの作業となる大変なお仕事ですが、中継に関わるスタッフの方々の表情はやる気に満ちあふれています。今後、このコラムではカメラマンだけでなく、音声やVE、VTR、設営のスタッフなど技術スタッフさんのお話なども紹介できればと思います。

さて、私がスポーツ部に赴任して3年目の6月、いよいよ野球中継での中継車Dのデビュー戦が決まりました。甲子園球場での福岡ソフトバンクホークス戦です。大緊張で迎えたこの試合、私はどういう気持ちで迎えたのか、実際にどのような流れで中継が行われているのかを次回書かせていただきます。お楽しみに!

Posted in コラム | 第13回 サンテレビボックス席の要!カメラ位置は? はコメントを受け付けていません

第12回 サンテレビボックス席ができるまで

前回までは、中継における本社Dやフロアディレクター(FD)の仕事内容について書かせていただきました。あとは中継車Dのお仕事について、ということもありますが、その前に『サンテレビボックス席』がどのような人たちによって、どんなタイムスケジュールで作られているのかをまず書かせていただければと思います。今回は甲子園球場でのナイターを想定したスケジュールです。

さて、そもそも野球中継にはどれだけのスタッフが関わっているのでしょうか?
ディレクターやアナウンサー、カメラマン、音声、VTR、VE、放送席などの設営スタッフ、アシスタント、中継車や音声車のドライバー、スコアラー、など様々な役割の方々が関わっています。現場だけで40名近く、本社スタッフも含めるとなんと50名ほどの人数が関わっています。本当に大がかりです!私も中継に携わるまでは、こんなに人数が多いのかということを全く知らずにびっくりしました。現場のスタッフのお弁当を発注する、というのもディレクターの仕事の一つなのですが、そのときにはじめてスタッフの多さを実感しました。

【13:00 中継車が甲子園球場へ】

中継の5時間前には中継車と音声車が現場入りします。到着次第カメラマンや音声さんなどの技術スタッフが設営に入ります。なお、この段階ではもう中継のカメラ位置の土台や、放送席は設営が終わっています。準備って本当に大変なんです!

中継車や音声車には、中継で使う重たいカメラなどの機材や、長くて重たいケーブルなどがぎっしりと詰め込まれています。それを積み下ろし、それぞれの持ち場へ持っていくわけです。夏の暑い時期は本当に重労働です。雨が降っていても中止が発表されない限りは中継の準備も進めますので、本当に技術スタッフさんには頭の下がる思いです。
機材のセッティングが終わると、中継車にいるTD(技術スタッフの責任者)や、スイッチャー、VTR、VE、ミキサー(音声)の立ち合いのもと、テストが行われます。ここできちんと映像が中継車に届いているのか、音がクリアに聞こえているかをチェックします。

【14:00ごろ ホームチームの全体練習スタート】

ホームチームの練習は試合開始の4時間前ごろより始まります。ウォームアップを全体で、そのあとに投手はキャッチボールやランニング、ブルペンでの投球を行います。野手はバッティング回りや、ノック、走塁を行います。この間にアナウンサーは練習を終えた選手に事前取材を行います。ディレクターも、何か練習中に変わった動きがないか、登録抹消や新たに一軍登録された選手はいないか、などをチェックします。チーム広報さんにもご挨拶します。

【16:00まえ ビジターチームの全体練習スタート】

ホームチームの練習が終わったらビジターチームの全体練習がスタートします。このあたりにはお客さんの入場も始まりますのでご覧になっている方も多いと思います。ビジターチームにもアナウンサーは事前取材を行います。ディレクターも動きをチェックしています。

【16:15ごろ 中継全体打ち合わせ】

中継スタッフが中継車の周りに集まって打ち合わせを行います。まずは当日の中継車Dから、キューシートに書かれている中継の段取りを確認します。そのあとに、実況アナウンサーとリポーターによる試合の見どころの確認を行います。ここで、当日の中継でどのあたりを強調した中継にしたいか、ということを全体に示すことができます。
全体としてはここまでで、そのあとにカメラマン、VTR、スイッチャーとディレクターの打ち合わせが行われ、スイッチャーと中継車Dから、見どころに沿って、「このときはどのカメラでこういう風に撮ってください。」などの確認を行います。個人的にはここが中継において一番大事にしたい瞬間です!
試合はいつどんな展開になるかわかりませんので、急に何かが起こったときにどうするか、注目選手が出てきたときはこういう演出をしたい、など、あらかじめ伝えておくと全員で一丸となって同じ方向を向けるからです。中継車Dを行うときはここを大事にしたいと考えています。

【17:45ごろ スタンバイ】

解説者さんとの打ち合わせも終え、いよいよそれぞれが持ち場へ。最終的に音声のチェックを、本番のアナウンサーと解説者さんの声で行います。そして本番へ!

というのが本番までの流れです。野球以外のスポーツの中継も同じようなスケジュールです。あらためて見ると長い一日ですよね。続いては中継の要である「カメラ位置」について書かせていただきます。カメラ位置の説明が終わればみなさんももうサンテレビボックス席通です!お楽しみに!

Posted in コラム | 第12回 サンテレビボックス席ができるまで はコメントを受け付けていません

第11回 サンテレビボックス席ディレクターの裏側は?⑨ ~フロアディレクターのお仕事 その5~

「放送席~放送席~。今日のヒーローは◎◎選手です!」
勝利の後に必ず行われるこのヒーローインタビュー。中継をご覧になっている視聴者の方々や、球場でご覧になっている観客の方々の喜びの時です。ここで様々な名言や迷言(笑)が生み出されてきました。これを楽しみにしている方も多いでしょう。

このヒーローインタビューがどのように行われているかを今回は書かせていただきます。まず基本的なことからですが、ヒーローインタビューを担当するのは当日に中継を行っているテレビ局になります。サンテレビではその試合のベンチリポートを担当しているアナウンサーが話を聞いてくれます。そして、そのヒーローインタビューの段取りなどを確認するのが、2人目のFDの仕事です。

試合前に行われる全体練習の際に、FDは球団のチーム付きの広報さんに「今日ヒーローインタビューを担当させていただくので、よろしくお願いします。」というような挨拶をします。そこで広報の方に「今日はサンテレビが担当なんだな。」と認識をしてもらうわけです。ちなみに甲子園球場や京セラドーム大阪でのタイガースの主催試合でヒーローを担当する場合はどちらが勝ってもヒーローインタビューを担当、ビジターで中継がある場合はタイガースが勝った場合の担当、ということになっています。

基本的には球団の広報さんは試合中に選手やコーチの談話などを、ベンチ裏の控室にいるベンチリポーターに伝えてくださいますので、その際に「今日は◎◎選手になりそうです。」「今日は▽▽選手にお願いしましょうか。」ということで話をリポーターと進めていただいています。甲子園でのビジターチームが勝ちそうな場合、ビジターチームの広報さんとは8回が終わったあたりで、電話などで直接FDが選手の候補のやり取りをしています。

タイガースのある選手にヒーローインタビューできることになった、という段階で次に私たちにできることは、タイガースの勝利をとにかく祈るのみです!とある試合でもう勝利に向けてスタンバイをしていたときに、追いつかれたり逆転されたりしたときには肩を落として球場を後にしたこともあります…。

試合終了後、ヒーローの選手が出てきたら立ち位置までFDがご案内をして、リポーターにインタビューのスタートの合図を出したら、ヒーローインタビューが始まります。甲子園球場でタイガースが勝った場合のヒーローインタビューのアテンドをしていると「球場のファンの方々の熱気は本当にすごい!」と思います。実際にグラウンドレベルにいると、声援はとても大きく情熱的です。よくタイガースの選手が「ファンの皆さんの声援が力になりました!」と口にすることは多いですが、本当に力になる声援だと思います。

最後に、タイガースファンの方々に注意です。私が甲子園球場でのヒーローインタビュー担当FDになったときのタイガースの勝率はものすごく悪いんです…。(2割あるかどうか…。)
3塁側でビジターチームのインタビューをひっそりと行っていることが多いです。今年はその場合でもタイガースのインタビューをアテンドできるよう、あらためて必勝祈願をしてきました。今年はもっとタイガースの勝利を甲子園球場で味わえるようになるはずです!

以上、5回にわたってFD業務のお話を書かせていただきました。FDと本社Dの業務を行いながら、我々スポーツ部のディレクターは、3年ほど『サンテレビボックス席』がどのように中継されているのかを学び、ようやく中継車Dとしての業務に就くことができます。中継車Dの話をする前に、次回からはあらためて「『サンテレビボックス席』ができるまで」と題して、試合当日の流れや、どういうスタッフが現場にいて、何台のカメラで何を撮っているのか、などを数回に分けて書かせていただきます。引き続きお楽しみに!

Posted in コラム | 第11回 サンテレビボックス席ディレクターの裏側は?⑨ ~フロアディレクターのお仕事 その5~ はコメントを受け付けていません

第10回 サンテレビボックス席ディレクターの裏側は?⑧ ~フロアディレクターのお仕事 その4~

『サンテレビボックス席』はご存じのとおり、プレーボールからゲームセットまでの完全中継でお送りしています。あの有名な1992年9月11日、タイガースとスワローズの6時間26分という日本プロ野球の最長試合も最後まで中継するほどです。サンテレビの社員が言うものではありませんが、良い意味でおかしいですね…。

「試合の途中ですが、〇〇テレビをご覧の方とは9時でお別れとなります。ご了承ください。」
というアナウンサーのお知らせを、中継をご覧の方はお聞きになったことがあると思います。『サンテレビボックス席』は、試合によってネット局でも同じ内容が中継されているのです。その場合、他の放送局では必ずしもプレーボールからゲームセットまで中継されているというわけではなく、試合の途中から番組が始まったり、逆に試合の途中で番組が終わったりということもあるのです。

「そもそもネット局って?」
と思われる方も多いと思います。サンテレビは独立局という、たとえばテレビ朝日さんと朝日放送さん、または日本テレビさんと読売テレビさん、のような系列に属さないテレビ局ですが、『ボックス席』では同じく独立局であるKBS京都さんや、三重テレビさん、岐阜放送さん、といったテレビ局にサンテレビの中継映像をネットしているのです。

このネット局の途中乗り、途中降りというのがFDの時間管理の中では緊張するところなんです!(中継車Dや実況アナウンサーもですが…)
と、言いますのも野球はいつ投げ始めて、打って、走って、攻守交代になって、というのが当然決まっておりませんので、例えばちょうど夜の7時にどういう状況なのかは予測がつきません。ただし、ネット局が7時から中継が始まるということは決まっています。ネット局の中継をご覧になった方は、いきなりホームランが出て喜んでいるタイガースファンのアップが映る、ということもあるわけです。
 
上記のような場合はある意味仕方ない部分もあるのですが、例えば実況アナウンサーと解説者の方が話をしている途中で急に7時を迎えると、ネット局をご覧の視聴者の方はいきなり何の話をしているのか分からない話を途中から聴くことになるのです。

それを防ぐため、「ポーズ」「頭づけ」というのをFDの指示で実況アナウンサーにしてもらわないといけません。「ポーズ」というのはそれまで話をしていたことをアナウンサーにまとめてもらって、何秒間か黙る、というものです。7時からネット局の中継が始まる場合、そこに向けて1分前から細かくFDが指示を出して、7時になる数秒前に話をまとめてもらわないといけません。(よほどの試合が動くようなプレーが起こった場合は別ですが。)
その「ポーズ」をとって、7時を迎え、ネット局の中継が始まったら「頭づけ」をしてもらいます。「甲子園球場での阪神対広島の一戦。試合は4回表の…」という状況説明を実況アナウンサーが行うのです。

事前の打ち合わせでもきっちりと確認をしますし、番組のレシピでもあるキューシートにはその旨が書かれています。ただ、ちょうどネット局の中継が始まったり終わったりするときに試合が白熱した展開だったりすると、ついついFDも中継車Dも実況アナウンサーも忘れそうになったりすることもあります…。ここは気を付けないといけません!

もう一つ複雑なのがCMの途中にネット局の中継が始まる場合です。90秒CMの途中でネット局向けに話をして、サンテレビのCMが明けるタイミングでポーズをとらないといけませんので、実況アナウンサーはもちろん、指示を出すFDも緊張の一瞬です。サンテレビだけでなく、ネット局での中継をご覧いただいている視聴者の方々に観やすい、聴きやすい中継をできるよう今後も心掛けていきます。

現在、ネット局は1試合でも最大2つか3つですが、スポーツ部ディレクターの先輩に話を伺うと、昔は7つや8つものネット局に同時に中継されていたこともありました。そのときなどは、もっと細かく「ポーズ」や「頭づけ」が発生するので、「大変やったやろなぁ…。自分やったら頭の中がぐちゃぐちゃになるわ…。」とその話を先輩から伺っているときに想像して吐きそうになったのは秘密にしておいてください…。

FDの説明だけでもう4回分も書いてしまいました…。次回は現場にいる二人のFDのうち、もう一人のFDの主な役割でもある「ヒーローインタビューのアテンド」に関して書かせていただきます。FDのお仕事編は次回がラストです!お楽しみに!

Posted in コラム | 第10回 サンテレビボックス席ディレクターの裏側は?⑧ ~フロアディレクターのお仕事 その4~ はコメントを受け付けていません

第9回 サンテレビボックス席ディレクターの裏側は?⑦ ~フロアディレクターのお仕事 その3~

「パーパラパッパッパッパッパッパラパッパッパ♪」
というスポーツテーマがかかるといよいよ『サンテレビボックス席』の中継が始まります。30秒はテーマ曲がかかり、その間は対戦スーパーや、提供社様のスーパーが出されていますので、実況アナウンサーはしゃべりません。この間にプレーが始まるときもありますし、まだ始球式などが行われているときもあります。30秒を過ぎると実況アナウンサーがしゃべりだします。(アナQと呼ばれます)

フロアディレクター(FD)は、そのアナQの時間管理を行い、あとは中継車Dの映す映像などに従い、先発投手の紹介などに移ります。そのあとは基本的に一人目の打者が打ち終わったあとに、両チームのスタメン紹介を行います。
 
基本的には試合や中継車からの映像、実況アナウンサーと解説者のコメントに従って中継は進んでいきます。そこでFDがしなければいけないことは、現場の状況を伝えるということです。例えば、中継車では、7台のカメラが撮った映像は見えていますが、逆に言うとそれ以外の状況は見えていません。屋外での球場で言うと、風向きなどはその都度カメラさんに頼っているわけにはいかないので、FDからの声が必要なのです。ひとつ例を見てみましょう。

「なんでこのタイミングで急にバックスクリーン上の旗のようすが映るんだろう?」
そう思われる方々は多いと思います。

甲子園球場でのカープとの一戦。4番の鈴木誠也選手が打席に立とうとしています。一発のある鈴木選手のバッティングで気になるのは今の風向きです。甲子園球場でいつも通りの強い浜風(ライトからレフト方向への風)が吹いていると、右打者の鈴木選手の一発に注意が必要だ、という情報を視聴者の方々に伝えることができます。もし普段とは逆方向の風が吹いていると、今日はタイガースの左打者でもライトスタンドへのホームランを期待できるな、ということを伝えられるのです。
一発のあるバッターが出てきたときや、いつもとは違う風向きだな、いつもより強い風が吹いているな、というときにFDから声掛けをします。すると、カメラマンさんがバックスクリーンの上の旗を撮って風向きが映像で視聴者の方々へ伝わります。中継スタッフは基本的には試合を追いかけていますので、そうしたFDからの一言はとても重要です。
同じく中継車Dがプレー中にはチェックしづらい、ネクストバッターズサークルにいる代打のチェックもします。先発投手が6回を超えて打席に回ってくるときなどは、まだ続投するかどうか、とても気になるところなのでそちら側にも注意をしないといけません。

放送席の位置からネクストバッターズサークルが見えにくい球場もあります…。どことは言いませんが、その場合は身体を必死にねじらせたり、どんな体制でも見えない場合はカメラさんにサポートしていただいたりしています。ちなみに甲子園球場はとても見やすい球場です。

同様に注目しなければいけないのは、守備隊形です。ランナーが得点圏にいるとき、外野は前進守備をしているのか、内野はゲッツーシフトか、バックホーム用の前進シフトか、などチェックをし、中継車Dやカメラさんに伝える必要があります。そこで映った映像を見て、実況アナウンサーがコメントをつけてくれます。
FDの自分が中継車Dにシフトを伝える前に、実況アナウンサーや解説者の方が「外野が前に来ていますね。」と言われてしまった(?)ときは、密かに「先を越されてしまった!」と悔しさを感じていることは内緒です…。

FDの主な仕事の一つ「時間管理」ですが、冒頭に記したようなアナQのタイミング管理のほかには、CMに入るべきときに、実況アナウンサーに気持ちよく締めてもらうタイミングで合図を出す、など様々あります。既にお伝えしていますとおり、「ネット局」があると時間管理はとても複雑になります。そのあたりの仕事内容のご紹介は次回書かせていただきます。お楽しみに!

Posted in コラム | 第9回 サンテレビボックス席ディレクターの裏側は?⑦ ~フロアディレクターのお仕事 その3~ はコメントを受け付けていません

第8回 サンテレビボックス席ディレクターの裏側は?⑥ ~フロアディレクターのお仕事 その2~

中継当日、現場に到着し、まずフロアディレクター(FD)がしなければならないことは、「FDバッグ」を中継車から放送席へ持っていくことです。
「FDバッグ」とは何か?というのが写真の何の変哲もないスーツケースです。

大きいほうは甲子園・ナゴヤドーム・マツダスタジアムなどで使い、赤の小さいほうは横浜スタジアム・神宮球場で使用します。入っているものは同じです。

このFDバッグには中継で必要なものがたくさん入っています。写真に写っているのはそのごく一部です。

まずは球団から配布される「メディアガイド」というものがあります。この中には、選手のプロフィールや過去の成績はもちろん、
・プロ初安打を打ったのはいつか?
・プロ初勝利を挙げたのはいつ?
・前年の対戦カード別や対戦打者(投手)別の成績
・歴代背番号一覧
・球団のあゆみ

など、通常我々が手にする選手名鑑よりも詳細な内容が書かれています。特にデータ面などは大変充実しています。(好きな女優や愛車などは書かれていませんが…)
球団が自ら出しているものですので、実況アナウンサーやディレクター、スポーツ新聞の記者さんは、メディアガイドを頼りに過去の記録などを使用しています。
他にはセ・リーグ発行の「グリーンブック」や、「野球規則」などの本が入っています。
「野球規則」は細かいルールがぎっしりと書かれています。一年に一度は「ルールの盲点」をついたようなプレーが出ることがあります。そのときにすぐにアナウンサーや中継スタッフが気づくことのできるよう、この本はとても重要なのですが、内容はとても複雑です…。ただ、読んでいると道具の規定や塁間の詳しい距離など、「なるほど!」と思うことが盛りだくさんです。

次にご紹介するのは「双眼鏡」です。
「双眼鏡なんて要るの?」と思われるかもしれませんが、これがけっこう役に立ちます。
ネクストバッターズサークルに代打の選手が出てきたときに、いち早く中継車Dに伝える必要があるのですが、放送席から距離が遠く、肉眼では見分けがつきにくいときがあります。そのときに双眼鏡を遣えば、背番号もくっきり!誰が代打に出るのかをすぐに伝えることができます。

ほかには「30秒前」など時間が書かれたシート。FDのすぐ隣に実況アナウンサーがいるので、これも必要ないのではと思われる方もいると思います。ですが、甲子園球場の放送席は観客席の中にありますので、ファンの大声援で肉声はあまり届きません。シートを見せることできちんとコミュニケーションができますし、さらに離れたところに座っている解説者の方にも「そろそろCMが明けますのでスタンバイをお願いします!」という意思表示にもなります。
放送終了時にも「30秒前」と書かれたシートを見せます。その際はオンエア中ですので、実況の隣のディレクターが大声で「30秒前!」と言ってしまうと、みなさんの見ている中継にディレクターの声が入ってしまいます。ですので、観客席と仕切られている他球場の放送席でもこれらのシートは使われます。同様に「CMへ」のシートを見せることで「そろそろCMに入るのでまとめてくださいね。」ということを伝えられます。

そのほかにも、ハイライトVTRで出されるシーンを記入するシート、メモや筆記具、さらにはゴミ袋や暑い時期に出演者の飲まれるお水を入れる簡易のクーラーボックスなど色々入っています。ドラえもんの4次元ポケットのようですね。

それらを用意し、中継2時間前に行われる制作・技術スタッフ打ち合わせ(今後書かせていただきます!)と、解説者の方との打ち合わせを終え、いよいよ本番へ!初めてのFD業務が始まります。次回は「試合中のFDの動きは?」ということを書かせていただきます。お楽しみに!

Posted in コラム | 第8回 サンテレビボックス席ディレクターの裏側は?⑥ ~フロアディレクターのお仕事 その2~ はコメントを受け付けていません

第7回 サンテレビボックス席ディレクターの裏側は?⑤ ~フロアディレクターのお仕事 その1~

「5秒前、4、3…」
阪神甲子園球場のバックネット裏の観客席の中に設けられた放送席を目にされた方も多いと思いますが、その放送席で実況のアナウンサーと解説者の方の隣にたまに立って指折りカウントをしているのがフロアディレクター(以下、FD)です。

そもそも何をカウントしているのでしょうか?
お察しのとおり、CMが明けて実況アナウンサーが話し出すまでの時間のカウントが主です。実況アナウンサーは、FDの合図(キュー)を頼りに話し出しますので責任重大です。ちなみにその他には番組が終了するまでのカウント、また、サンテレビ以外の中継ネット局が試合の途中に始まったり、終わったりする場合のカウントなどです。このネット局が多いときがFDにとっては身の引き締まる瞬間で―。というのはまた追って…。

スポーツ部に配属されて、本社Dとしての勤務を数試合行い、いよいよFDとしての勤務です。私が初めてFD業務を行ったのはナゴヤドームでのドラゴンズ戦でした。初めての遠征、初めての現場での試合、初めてお会いする福本豊さん…。色々と慣れない中でも先輩ディレクターが色々と当日の流れを教えて下さいました。

「現場にはフロアセットを持っていくんやで。」
フロアセット?なんのことでしょうか?
当日中継を行ううえで必要な書類などが入った大きな封筒です。
中継の当日までに担当の中継車Dが色々と封筒に書類を用意し、それをFDが持っていくわけです。


どのような書類があるのでしょうか?
一番重要なものは「キューシート」というものです。キューシートに書かれているのは主に以下のようなものです。
・どのタイミングでCMに入るか
・どこでVTRを出すか
・いつ現場の音声を使用するか
・どのタイミングで字幕スーパーが出るか
・当日の解説者と実況アナウンサーは
などです。台本よりはざっくりとしたものですが、これが当日のディレクターやアナウンサー、技術スタッフさん、サンテレビの中継をネットして下さる局の指針となるのです。

他には当日の試合の約40分前に発表されるスタメンやベンチ入りメンバーを記入する「メンバー表」や、中継のなかでご紹介する他球場速報用の記入シート、『ボックス席』ではおなじみの「テレホンプレゼント」の原稿など様々なものがあります。
ちなみに、「メンバー表」は発表され次第、FDやスタッフが手書きで書いています!メンバー発表から中継のスタンバイまで20分ほどしかありません。中継に向けたスタッフがスタンバイするまでの間に素早く、読みやすく書かないといけません!意外とアナログですね。

現場にフロアセットを持っていき、球場へ着いたのは試合開始4時間前。そこでディレクターの先輩から言われたのは、
「球場に着いたらFDバッグを中継車から放送席に持っていくんやで!」
FDバッグ?なんのことでしょうか?
この中にもFD業務に必要なものがたくさん入っているのですが、もうけっこうな分量になってしまいました…。

というわけで、次回は「FDバッグには何が入ってるの?」を書かせていただきます。裏の話が多すぎてこんな調子でいつになったらこのコラムで中継の話を書きだすのでしょうか…?それも含めてお楽しみに!

Posted in コラム | 第7回 サンテレビボックス席ディレクターの裏側は?⑤ ~フロアディレクターのお仕事 その1~ はコメントを受け付けていません

第6回 サンテレビボックス席ディレクターの裏側は?④ ~本社ディレクターのお仕事 その2~

『サンテレビボックス席』本社ディレクター(以下、本社D)の重要な仕事の一つに「CMボタンのテイク」というものがあります。株式会社サンテレビジョンは民放テレビ局ですので、放送を維持するためにはスポンサー各社様からの協賛が必要となります。その一つがCMです。
基本的に『サンテレビボックス席』でCMが入るのは攻守交代の間です。3アウトでチェンジになると、現場中継車ディレクターからの指示でCMへと移るのですが、本社Dが写真の「CMボタン」をテイク(押す)するとCMが自動的に始まるのです。

これが非常に気を遣うわけです!もちろんイニングの途中で思いっきりゲームが動いているときにCMボタンをテイクすることなどあり得ませんが、万が一そういうことをすると、とんでもないタイミングでCMが流れてしまいます…。その“うっかり”の可能性を少しでも減らすために、このボタンにはフタがついていて、そのフタを開けないとテイクできないようになっているのです。

通常の中継でのCMへの流れはこのようなかたちです。3アウトになってチェンジというときに、実況アナウンサーの「4回表が終了。2対0でタイガースがリードです。」というコメントを聞いて本社Dがボタンをテイクするという流れです。

ただし!3アウト目のプレーが試合を重要づけるプレーであった場合は、中継車Dのとっさの判断でそのプレーのリプレーを流し、CMへ、という流れになります。また、アナウンサーの方が別のコメントを話して締める場合もありますので、本社Dは中継車Dとの連絡回線や、実況アナウンサーと息を合わせないといけません。

「そんなん簡単なことやん!」
と思われる方も多いと思います。決して難しいことではないですし、もちろんよほどのことがないと間違いは起こりません。ただ、「万が一」があると…と思うとやはり気を遣いますし、緊張感を持って取り組むことは本当に大事なことだと思っています。

第5回にも記しましたとおり、本社Dには中継に載せる字幕スーパーが合っているのかを確認し、放送に載せる、という仕事もあります。打者の成績などは、試合中にも随時更新されていくわけですから、その都度確認が必要となります。視聴者の方々は我々の載せるスーパーを「当然合っているだろう。」という思いでご覧になっていますので、制作側としては当然そのご期待に添ったクオリティのものを提供する必要がありますし、ミスの無いようにしなければいけません。

完璧で当たり前。失敗すればそれが目立つ。ミスを恐れて縮こまってはダメですが、細心の注意を払って今後も中継に取り組みたいと思います。ただ、決して緊張感でピリピリ…というわけでもなく、チャンスでタイガースが打てば「おぉ!」と盛り上がることもあるので、楽しい雰囲気で中継を行っていますよ!

さて、何度か中継を経て、次は実際に球場での中継業務です。次回は「フロアディレクターのお仕事は?」を書かせていただきます。お楽しみに!

Posted in コラム | 第6回 サンテレビボックス席ディレクターの裏側は?④ ~本社ディレクターのお仕事 その2~ はコメントを受け付けていません