『え?ウソやろ?東京ドームの試合やのにサンテレビで中継するん?ないない!冗談もほどほどにしいや!え?ホンマにあるん?見よ!』(2021年8月17日のラテ欄)
2021年8月17日、サンテレビボックス席が初めて東京ドームから中継されるという記念すべき日となりました。今回はそれに関して振り返ります。
「開局50年以上野球中継をしているのだから、いくらなんでも東京ドームから初めてということはないでしょう。」と思われる方も多いと思いますが本当なんです。東京ドームを本拠地とするのはジャイアンツで、普段はサンテレビも中継することはできません。取材で東京ドームに入らせていただいたことは何度もありますよ!(※第22回参照)
今年は東京オリンピックが開催され、その野球の会場が横浜スタジアムとなったことで、ベイスターズ主催の東京ドームでの試合が行われることとなりました。それをサンテレビが放送させていただくこととなったのです。貴重ですね!
東京ドームからの野球中継はこれまでに何百試合と視聴者として見てきましたが、どこにカメラを置いて、どのように中継するべきか、というノウハウはサンテレビにはありません。中継に先立って4月に現地での下見が行われました。
初めて中継を行うところや、年に一度しか中継しないようなところで放送を行う際には事前に下見が行われます。そこで、中継車をどこに停めるのか、中継カメラをどこにセッティングするのか、スタッフの動線はどこなのか、どのように電波を現地から送るのか、など実際の目でチェックします。
『サンテレビボックス席』のビジター球場での基本カメラ台数は6台です。できるだけ同じ配置でいつもの中継の雰囲気を味わっていただけるような配置を技術スタッフとも話し合いながら決めました。下見から当日までは球団や球場の職員の方々と事務的な確認・打合せが行われていきます。(中継スタッフや出演者のお弁当をどうするか?なども含めてです!)
技術スタッフさんの当日のプレッシャーはすごいものだったと想像されます。「プラン通りいかなかったら?」「映像や音声がサンテレビ本社へつながらなかったら?」など、初めて中継する場所だと、やってみるまでわかりません。17日の中継が終わったあとはみんなホッとしていました。技術スタッフさんに感謝です!
私としては当日どのように東京ドームからの中継、というのを見せようか考えていました。せっかくなので球場の中の映像だけでなく、外観の映像もお届けできれば、ということで事前に外観の映像を収録しました。あの独特なかたちのドームの全景を映すことができたときは私も「おお!サンテレビっぽくない映像!」と思いました。
中継でもたまに東京ドームならではの映像を映しましたが、試合としては特に「東京ドームから初めてサンテレビが中継!」という感じを出しすぎないようにしました。サンテレビとしては歴史的な日となりますが、タイガースが東京ドームで試合を行うことはよくあることなので、正直試合内容には影響しないからです。試合では淡々といつもと同じような中継ができれば、と思って中継したつもりです。
逆に試合前の情報番組「キャッチ+」でのタイガース試合直前情報「ボックス席SOON」のコーナーでは大いに「東京ドームからのサンテレビの中継ですよ!」と橋本アナウンサーと村上アナウンサーに盛り上げてもらいました。橋本アナウンサー、めっちゃ気合い入っていましたね!
8月17日と19日の中継は1勝1敗。東京ドームからの勝ち試合と負け試合の両方を経験しました。この2試合で大活躍だったのは佐藤輝明選手です!17日にはあのレジェンド・田淵幸一さんに並ぶ球団の新人最多本塁打数の22号を含む2本のホームラン!19日にはその記録を塗り替える23号ホームランを打ちました。
19日の試合前に、もし佐藤輝明選手が23号ホームランを打ったら、どのように映そうか、という話を打ち合わせで行いました。こういう話をするとめったにその選手がホームランを打つことは無いのですが…良かったです!④CAMさんに頑張っていただき、ダイヤモンドを駆け抜ける佐藤輝明選手を見せられたと思います。
強いて言えばあのゲームに勝っていれば…。ということで、負ければすぐに中継を終えることでおなじみの『サンテレビボックス席』ですが、そのすぐに中継を終えるまでの間に佐藤輝明選手の23号の映像を何回も出しました。あまりやらないことでしたが、長い球団の歴史でその球団記録を塗り替える一発でしたから、その偉業を称えたかったのです。いったい彼は今シーズン終了までに何本ホームランを打つのでしょうか。本当に華のある選手ですね。
今回の東京ドーム中継を実現するにあたって、色々な方々のサポートをいただきました。無事中継することができ、あらためてサポートして下さった社内、社外の方々に感謝申し上げます。また、視聴者の皆さまからも「サンテレビが東京ドームから中継するの面白いやん!」と肯定的な意見をたくさん頂戴しました。ご覧いただいた皆様本当にありがとうございました。
さて、今シーズンもおよそ100試合が経過し、ここからが山場です。3チームによる優勝争いはどうなるでしょうか。もちろんタイガースがアレすることを祈りながら、我々中継スタッフも皆さまに良い映像をお届けできるよう頑張ります。ここから『サンテレビボックス席』の中継も多くなりますので、お楽しみに!