ゆあぺディア~私とセンバツその②~

「松田くん、すごいなあ」という兄の言葉に、最初は戸惑うばかりでした。

1985(昭和60)年、鮮明に残るセンバツの記憶。小学5年生になる春。
「松田くん」とは報徳学園エース、松田慎司投手。

聞くと、兄とは西宮市内の小学校で同級生だったとのこと。
一緒に遊ぶことはあまりなかったようですが、自宅の前で素振りをする日課は近所では有名だったそうです。

ちょうどテレビでは、57回大会の2回戦、神奈川・横浜高戦が生中継されていました。
その日から「松田くん」は私の“身近な”憧れの選手になりました。

1回戦は青森・弘前工に7-6、2回戦は横浜に10-2で勝利し、ベスト8に勝ち進んだ報徳学園。
準々決勝の相手は、強豪・帝京(東京)でした。

この時、私は風邪を引いていて、自宅近くの小児科に行っていましたが、偶然にもセンバツの中継が流れているではありませんか!

食い入るように見つめていると、初回に2点を先制した報徳学園が3回に一挙6失点。
守備のミスなどもあり、「松田くん」は試合の途中で降板となりました。
「あーあ」とがっくりうなだれていると、受付の方に言われました、
あのーすみません、患者の方ですか?テレビを見るところではありませんよ」。
発熱していたはずなのに…、何とも恥ずかしい気持ちでこのあと、受診したのは言うまでもありません。

社会人の西濃運輸を経てプロ入り、日本ハム・ダイエー・ヤクルトと3球団で活躍し、現在はヤクルトでスカウトをされている松田さん。現役時代に、緊張して挨拶に伺ったことは忘れられません。今では、お会いすれば色々なお話をして頂ける間柄になりましたが、いつまでも憧れの「松田くん」であることに変わりありません。

あれから35年・・・。
当時の雑誌に掲載された横浜戦完投勝利後の「松田くん」のガッツポーズは、いまだに目に焼き付いています。

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