勝利投手藤浪

〈8/21 ヤクルト 4-7 阪神(神宮)〉

勝:藤浪
S:スアレス
敗:吉田大喜

屈辱にまみれた東京ドームの三連戦から、場所を神宮に移して、野球の神様は、チームの勝敗を藤浪に預けた。
やっと藤浪が帰ってきたと、この日記でも書いてきたけど、勝ち星から遠ざかってもう2年近くになる。
うん。「勝:藤浪」と文字を入れただけで、今また目からなんか出てきた(笑)

初回には先頭坂口にいきなり死球。抜けたり、引っ掛かったり…なんとか無失点でしのいだものの、安定したピッチングとは程遠かった。

2回表、5番大山からの打順。
大山も苦しんでいる選手だ。
「エース藤浪」「4番大山」と並んで書ける日はいつになるのか。
その大山が2ベースで出塁。
スワローズ吉田大喜も不安定で、塁上はあっという間に満塁となった。
だが、無死満塁はタイガースにとってチャンスではない。言い切る。
バットに当てれば1点は入ったであろう状況で、木浪は見逃し三振。
一死増え、迎えたバッターは藤浪だった。
藤浪は、サードへのゴロ。ホームゲッツーでチェンジかという状況で、サード村上がジャッグル。ホームは諦め1塁へ投げたが、藤浪はとにかく必死の全力疾走で、セーフ。
藤浪が少しでも「アウトだ」と諦めていたら、この日の藤浪の、そしてチームの勝利はなかった。
このあとも追加点を加え、0-4となった。

点をとってもらったその裏。
スワローズは、バントの構えを見せたり、ピッチャー前へ転がしたりして、徹底して藤浪を揺さぶりにかかった。「4点」を奪い返しにきた意図の見えるこの攻撃でセーフティスクイズも決められたが、藤浪が以前のようにフィールディングから崩れることはなく、一死満塁からの藤浪梅野バッテリーの決め球は、ストレート。
二者連続外野フライに打ち取った。

2-4となって、この試合荒れると思ったが、3回表。
ボーアに久しぶりのホームランが出た。
誰のホームランより、ボーアのがひときわ大きく「カーン!」って聴こえるの、私だけ?
大きな意味あるホームランだった。
試合を優位に進めるのはタイガースだと、ボーアが示してくれた。

再び4点のリードをもらった藤浪は、その後一発を浴びたりもしたが、7回のマウンドへ。
この回、投げ切りたかったが、一死2塁としたところで交代。
福原コーチになだめられながらもその悔しい表情を隠すことなく、ベンチに戻った。
ベンチに座り汗を拭うと、一つ大きな深呼吸をして、下を向いて、膝を叩いた。
勝利投手の権利は持っている。けれどもこの回を投げ切れなかった自分に相当悔しかったんだろう。
少し下を向いたままだったが、パッと顔を上げると立ち上がってベンチの最前列へ。
きっと藤浪はこの顔を上げたときに、次の登板へと切り替えたはず。
マウンドを託された岩崎へ声援を送った。

「勝利投手 藤浪」
場内にアナウンスが流れると、スタンドからは大きな拍手。
試合が終わったハイタッチの列の中で、スアレスからウイニングボールを受け取った。
・・・うううーー(涙)
ヒーローインタビュー中も、藤浪が球場から一礼をして出ていくまで、ずっと泣いてしまった(笑)

藤浪というヤツは一体本当になんなんだろか。
超のつく野球エリートで、少し生意気で、でもなぜか嫌いじゃなくて。
いや、嫌いじゃないどころか、勝てない日はずっと藤浪のこと待ってたんだな。
試合をぶち壊したことだって一度や二度じゃなかったのにな。

この日、久しぶりにマイクを持ったヒーローは言った。
「苦しいことばっかりだったように思いますし、辛いことが多かった」
以前の尖ってた藤浪ならそんなこと口が裂けても言わなかったと思う。
だけど「コツコツやるしかないと思って毎日毎日練習してきた」藤浪は、人の痛みもわかるようになったという。

今日のピッチングは、良かったと言えるものではなかったけれど、必死で走って、仲間を信じて、一生懸命投げてくれた姿は、本当に勝利投手としてふさわしいものだった。

いや、あいつ、ほんと生意気だったんだよ?(泣き笑い)

[今日のボーア]

なんなん!いきなり2本のホームラン!
(やったああああ!!)

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