「なんで清水?」
…これは、応援している選手は?好きな選手は?と聞かれ、「清水誉」と答えると、必ずと言っていいほどかぶせるように質問されたことです。
「桧山」って答えてたときには、誰も「なんで?」なんて聞いてこなかったんですけどね(笑)
で、その「なんで」に対する答えは、私自身も持っていなくてですね。ないんか。
いや、あるにはあるんですよ。
いつも頑張ってるとか、マジメとか、声が好きとか、きっと色々と。
でもそんな理由なら他にも当てはまる選手いっぱいいるし。
だから「なんで」には「なんでか」しか答えられないんです。
「特別なにが特徴ということもない。普通。」というのはよく聞いた捕手・清水評だった。
だけど、私は好きだったな。
穴のないキャッチング。外も内も臨機応変に使う。投手のリズムを大事にした。普通で上等じゃないか。
ただ、今のタイガースは普通じゃあかんようだ。
打てない捕手に、チャンスは多くなかった。
10月21日 戦力外通告。
ドラフト会議の翌日のことだった。
12球団でこの日に通告を受けたのは清水一人。
この日も普通に練習をしていたというから、何故このタイミングなのか、戦力外ならなぜ他の9選手と同じ10月1日でなかったのか…不思議だった。そして悔しくてたまらなかった。
「キャッチャー清水が戦力外通告。」
とだけ書いて知らせてくれた人からのメールを何度も見返しながら、夕方の帰路を歩いた。仕方のないことだと、涙を堪えようとするけど、またどんどん悔しくなってった。
オーダーしないと買えなかった「45」の背番号のレプリカユニ。
着て観戦してると、知らないおっちゃんが声をかけてきたこともあった。
選手名鑑の清水のページを開いて「親戚かなにか?」。
「ただのファンですけどそれが何か!?」
こんなやり取りも結構楽しかった。清水のことを知ってもらえたからだ。清水にファンがいることを教えてあげられたからだ。
いつかまた甲子園でマスクをかぶる姿が見たい。
そう思って通った甲子園も、楽しかった。
応援している選手がそこにいなくたって、どこかで頑張ってるって、それでもよかったんだって、今になってわかった。
あれから10日が経つけれど、清水の「声」が聞こえてこない。
引退して球団スタッフになるのでは、という話が小さくスポーツ紙に載っただけだ。
その方向でまとまっているようだけど、清水の声が聞きたい。