2019年12月06日(金曜日) 15:47 地域・まち

【特集】旧銀行がレストランに再生 レトロ建造物でまちに活気を

100年前のレトロな建物が、まちの魅力を見つめ直す きっかけとなりそうです。

姫路市網干区。人通りが少なく 閑散とした道に立つ こちらの建物。レンガで作られており 回りの建物と比べるとひと際、重厚な趣があります。
近くでは 中を覗いたりカメラを構え 写真を撮る人の姿も。
人を夢中にさせる この建物。中がどうなっているのかというと…

見てください。歴史を感じる建物です。まるで昔にタイムスリップしたかのようです。

【マネージャー濱田大規さん】
いらっしゃいませ。
(この建物は一体何なのでしょうか?)
旧網干銀行という、銀行の跡地を使ったレストランを営業させて頂いております。

およそ100年前の1921年ごろ、地方銀行の本店として誕生した「網干銀行」。
1970年からは、銀行合併に伴い店舗移転のため 洋服店として活用され、2000年には姫路市の重要建築物にも指定されました。
しかし、洋服店も4年前に閉店。地域のシンボルとして長年 親しまれた建物はその役目を終えました。
このまま取り壊されるのを待つだけなのか…と思いきや、なんと11月10日、装いも新たにレストラン「旧網干銀行 湊倶楽部(みなとくらぶ)」としてオープンしたのです。

【マネージャー 濱田 大規さん】
こちらの窓とか銀行時代のものをそのまま使っている。 ガラスは替えているものの、窓枠は当時のものが そのまま残されているのです。

また、100年前の大正時代の建築技法が良く分かるものがあります。

【マネージャー 濱田 大規さん】
この建物は木とレンガだけで作られている。レンガを積み上げて、この木煉瓦(もくれんが)という木を間にはめ込んでビスで打っていく作り方。これに関してはあえて見えるように残している。

さらに当時、実際に使われていた金庫室。まちにある お店の売上金などが集められ管理されていたと言われています。
現在は、ワインセラーとして活用しようと計画中だそうです。

【客はー】
本当にレトロな感じで 独特な雰囲気があってすごく良い感じだなって。
素敵ですね。この様に昔の建物が使われているのは、本当に素敵だと思います。
話題を呼んでいるのは、建物だけではありません。黒毛和牛を使ったブラウンシチューなどがメニューに並ぶなか、人気を集めているのがパン。
東京のベーカリーショップで修行を重ねたシェフのこだわりが、詰まっています。

【料理長 鵜鷹 絢さん 】
いまは生食が流行りだが、当店では焼いて食べて貰おうっていうパンを目指しています。小麦本来の香りが立つようになり、一枚でしっかりとしたパンになっています。

【客はー】
パンはもっちりしていましたね。
柔らかくて食べやすくて美味しいです。
そんな美味しいパンが食べられる、大正時代の洋風建築を活用したレストラン。誕生したきっかけは意外なものでした。

【オーナー 鵜鷹 司さん】
知り合いの大学生の方がSNSで「この建物どうなるのだろう。売りに出ている」って投稿があったので。

気球に乗ることが趣味の鵜(う)鷹(たか)オーナー。同じ気球仲間だった京都大学の大学院生 河北咲良(かわきたさくら)さんのSNSで初めてこの建物の危機を知りました。

【オーナー 鵜鷹 司さん】
住まいは姫路だが、網干にこういう建物が残っているのは全然(知らなかった)この建物を見た瞬間「ん?」という衝撃があった。活用方法どうしようって。買ったのが先だった。

実はオーナー、建物を何に使うか決める前に購入してしまったのです。
それを聞いた店の社員たちはというと…

【料理長 鵜鷹 絢さん】
そのときはまだ(東京で)パン屋をしていた。(父親であるオーナーが)東京に来て「これ買ったけど どう?」って言われて「何を言っているのだろう」って。

【マネージャー 濱田 大規さん】
建物は良いかもしれないが、網干で飲食店は無理でしょって。姫路でやるなら姫路駅前でバーンとオープニングしていっぱいお客さん入れてレストランっていうのがビズネスとしては賢いやり方だと思う。

しかし、オーナーには「ビジネス」という言葉だけでは片付けられない思いがありました。

【オーナー 鵜鷹 司さん】
この網干のまちを どう考えるのかっていうことを地域の人、ないしは行政の方いろんな方にやっぱり問いかけていく必要がある。

古くから揖保川流域の荷物の集積所栄えた商業まち 網干。現在も残されている、旧網干銀行の頭取であった山本真蔵(しんぞう)の邸宅は、このまちの繁栄を象徴しています。
山本家住宅を管理する、まちの歴史に詳しい加藤さんに、話を伺いました。

【旧山本家住宅 館長 加藤 順弘さん】
廻船問屋とかいろんな事業海と川を通じた事業をされた方がたくさんいたので。それでこのまちは賑やかだった。
まちの歴史を語る加藤さん。しかし、時代の流れと共に 様子が変わっていきました。

【旧山本家住宅 館長 加藤 順弘さん】
大型店、スーパーなんかのね。ああいうのが来てからいっきに人の流れが変わった。いまはちょっと寂しい。

レストラン「旧網干銀行 湊倶楽部(みなとくらぶ)」は新しいまちのシンボルとして、網干を盛上げます。

【オーナー 鵜鷹 司さん】
この建物は本当に網干のまちに大事な建物。地域の方にとっても大事な建物。次の世代、次の時代に紡ぐ必要がある。

この旧銀行がレストランとして再生する きっかけとなったこちらのSNS。投稿した 京都大学の河北(かわきた)さんに取材したところ…
「えらいことになった。まさか購入するとは思わなかった」と河北さん驚きのコメントでした。
しかし「建物の現状に危機感もあったので良いチャンス」と、建物が活用される期待感が大きかったそうです。

【お店情報】
 定休日は毎週水曜日と木曜日
 ランチは午前11時30分~午後2時30分、
 ディナー午後6時~午後10時となっています。

<メモ>
◇旧網干銀行 湊倶楽部(みなとくらぶ) 
〒671-1234 姫路市網干区新在家640

 1921年(大正10年) 網干銀行本店 誕生

 1970年(昭和45年) 銀行合併に伴う店舗移転のため洋服店に

 2000年(平成12年) 姫路市 都市景観重要建築物に指定

 2015年(平成27年) 洋服店 閉店

 2019年(令和元年11月10日) 「旧網干銀行 湊倶楽部」オープン

 2019年2月から8カ月かけて建物を改修した

◇ランチ 午前11時30分~午後2時30分/ディナー午後6時~午後10時 

◇定休日 毎週 水・木曜日

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