2019年06月26日(水曜日) 11:38 地域・まち

【特集】大阪湾 未知の断層を調査

私たちの身近な場所にある大阪湾。実は、この大阪湾にまだ知られていない活断層の可能性が指摘されています。
大阪湾で地震が発生すれば阪神エリア、淡路島に津波が数分で到達する危険性があります。神戸大学の海底調査を取材しました。

マグニチュード6.1。大阪で震度6弱の揺れを観測し6人が亡くなった大阪北部地震から1年。どの断層が動いたのか?震源断層は特定できていません。

震源近くには有馬・高槻断層帯や生駒断層帯、上町断層帯が存在しますが、政府の地震調査委員会はこれらの活断層が関係したかどうか明らかにできませんでした。

マグマ学を専門とする神戸大学海洋底探査センター センター長の巽好幸教授は、これまで知られていなかった活断層が動いた可能性を指摘します。

「この図が意味しているのは既存の断層ではないということ。既存のもしくはわかっている既知の断層以外のところでも結構地震はあるよと。」(巽教授)

他にも明らかになっていない断層があるのではないか?巽教授は、大阪北部地震をきっかけに日本有数の活断層帯である大阪湾を調査することを決意しました。

「大阪なんて地震の巣みたいなところですから。もし地震が起きたらどうなるかということをきちっと我々が科学的に示してそれに基づいてみんながある意味覚悟して対処するということが大前提だと思ったんです。」(巽教授)

神戸大学が保有する練習船「深江丸」。
この船には、最新の装置が搭載されていて反射波を解析することで地下構造を探ることができます。

「まず断層があるかないか、地下構造を見ますけども海底地形がどうなっているかものすごく重要なデータ。ここから上町断層までの間に断層がないなんてほとんど考えられないのでどこかにあるはずなので。」(巽教授)

去年9月に行われた学生実習。予備調査を行ったところ、大阪湾の海底にこれまで知られていなかった場所から活断層が確認されました。
人工的な振動を出し、その反射波を解析することで地下の構造を調べました。その結果-

「この周辺に断層が明らかな断層が見えているということです。今、解析が制度の良い打ち方をしていないので、精査しないといけないんですけど、あることは存在することは間違いないと思われますね。」(巽教授)

大阪湾には、ポートアイランドや神戸空港など、神戸から洲本市沖にかけて位置する大阪湾断層帯。そして、阪神淡路大震災を引き起こした六甲・淡路島断層帯があります。

Qこの2つしか分かっていない?「そんな訳はないんですよ。湾になっているということは、全体沈降しているんですから。」(巽教授)

予備調査では大阪湾断層帯の東側で見つかりましたが、詳しい場所や他の断層につながっているか、いつ動いたかなどを今後、本格的に調査する予定です。

もし、大阪湾で地震が発生したら?特徴は、大阪や神戸の市街地に到達する津波の速さです。津波の専門家は?

「断層の場所によって違うんですけど、数分とか10分くらいで来襲する可能性もあると思います。南海トラフで巨大津波が起きると大阪には5メートルくらいの津波が来ますけども、今のところ分かっている大阪湾の断層についていうと5メートルまではいかないと。少し小さくはなりますけども、場所によっては分かっていない断層などがある場合は大きくなる可能性はあるかと思います。」(関西大学 高橋智幸教授)

巽教授らは、調査費用として、インターネットのクラウドファンディングで目標を超えるおよそ240万円を集めました。来年度から大阪湾全体の調査をスタートし、2021年には調査結果を公表する予定です。

「断層がここにこんだけありますよってきちっと見せるのも大事だと思うし、将来の津波の災害の予測にも大きな役割を果たすと思います。」(巽教授)

LINE

あわせて読みたい

広告

広告

広告

PAGE TOP