複雑な線で書かれた落書きがカラフルに塗られた子供の落書き。
そんな絵がぬいぐるみとなって飛び出してくるサービスをご存知ですか?
芦屋市の手作り工房エソラワークス。代表でぬいぐるみ職人の白石哲一さん。元は普通の会社員です。
裁縫経験は全くありませんでしたが、8年前、絵の中のキャラクターがぬいぐるみになったら娘が喜んでくれるのではと思い、試しにぬいぐるみを作ってみることに。
その最初の作品がこちら。
【白石さん】
「正直出来は良くなかったと思うんですけど僕の中では何となく出来るっていう風な自信がついて…」
作品をきっかけに白石さんは娘や近所の子供たちの書いた落書きを次々にぬいぐるみにしていきました。
そして2013年、エソラワークスを設立。落書きがぬいぐるみに生まれ変わる面白さが口コミで広がり、今では全国から製作依頼が殺到しています。
【白石さん】
「縫うだけだったら2日ぐらいでは作れますがが、どういう風な面白みを加えるかという構想の部分でかなり時間をかけるので1 ケ月とか2ケ月とか期間をもらっています」
図面におこす際にはぬいぐるみという立体ならではのこだわりがあります。
【白石さん】
「動物の見えないお腹の部分とか柄、人間でも頭の方とか背中の部分なんかにアレンジを加えることはよくあります。いびつなものをきれいにまとめるか、子どもの落書きの良さをそのまま生かすかというのは私が考えながらやる部分もあります」
図面が完成すると次は生地選びです。ポイントは生地の色や素材を徹底的に絵に近づけること。
【白石さん】
「布ばっかりにとらわれたくないっていうのがあるので、触った時にいろんな感触を感じられるようなものを選ぶようにしています」
見えない部分にも実はこだわりがあるんです。
【スタッフ 大門さん】
「みんな(人形の)スカートをめくってしまうじゃないですか、その時にどのパンツ履かせようかと」
子どもたちの個性や想像力を生かしながらエソラワークスオリジナルのアレンジが加えられていきます。まるで絵が飛び出してきたかのような世界に一つだけのぬいぐるみが日々生まれて行きます。
【白石さん】
「こっちが想像していないようなものを描いてくるんですよね。大人が忘れてしまった想像もつかない感性を見るのはすごい楽しくて、子どもの描いた想像力に負けたくないものを作りたいなと。こっちもクリエイターとして意地というか 楽しみがあります」
エソラワークスの温かい思いが込められたぬいぐるみは完成を待ち望む子ども達の元へ届けられていきます。
川西市に住むこの家族にも去年子どもの絵を形にしたぬいぐるみが届けられました。描いたのは当時はまだ幼稚園に通っていた、現在小学1年生の雲下夏実ちゃんです。
夏実ちゃんはぬいぐるみをリビングに大切に飾っています。こちらがなつみちゃんが書いた魔女の絵。ハートのステッキを持ちほうきに乗っています。
なぜ魔女の絵にしたのかというと…
【夏実ちゃん】
「みんなに幸せ届けるため」
自分がデザインしたぬいぐるみといつも一緒の夏実ちゃん。特に気に入っているところを聞いてみました。
【夏実ちゃん】
「洋服の色とハート」
完成したぬいぐるみの洋服には、元の絵には書かれていなかった水玉模様のデザインされています。エソラワークスオリジナルのアレンジがしっかりと組み込まれています。
【夏実ちゃんの母】
「子どもが自由に描いた絵が、平面の絵が立体になって届くしすごく嬉しかったですね」
多くの子どもたちとその家族へ。世界に1つだけのぬいぐるみを届けてきたエソラワークス。これからも子ども達の夢や想像力を形に変えていきます。
【白石さん】
「ぬいぐるみに限らず今あるものに付加価値をつけてやっていたいっていうのがコンセプトとしてあるので、子どもが見て笑ってくれる、喜んで使ってくれる、そういうものを作っていきたいなと思っています」