理化学研究所などのチームは、他人のiPS細胞から作った網膜の細胞を目の病気の患者に移植した世界初の臨床研究について、「術後1年の経過は良好」と発表しました。
18日東京都内で開かれた日本眼科学会総会で、理化学研究所や神戸市立医療センター中央市民病院などのチームは、他人の人工多能性幹細胞、いわゆるiPS細胞で作った網膜細胞を移植する臨床研究で、移植した5人全員の網膜で細胞の定着が確認されるなど術後の経過が良好であることを明らかにしました。
今回実施した臨床研究では視力が徐々に低下し、失明する場合もある「滲出型加齢黄斑変性」の患者5人を対象に移植手術を実施。うち1人に軽い拒絶反応が見られたものの、薬剤で抑え込むことができたということです。
術後の経過の詳しい公表は初めてで、理化学研究所の高橋政代プロジェクトリーダーは「今回の研究で安全性は担保できた」と語っています。