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静かに広がるアジサイ・ブーム

アジサイが静かなブームになっているそうだ。年ごとに新品種がつくりだされ、しかも手入れが簡単で、ドライフラワーにもなる。

東遊園地のアジサイ

 

 神戸・三宮では、東遊園地でアジサイを目にすることができる。株数は多くないものの、神戸の都心部ではこの花を少しまとまって見ることのできる希少な場所だ。兵庫県庁北側の相楽園も、やはり株数は少ないが「7月中旬ころまでは咲いています」(同園)とのこと。六甲山にいけば神戸市立森林植物園に数万株、裏六甲ドライブウェイや奥摩耶ドライブウェイでもかなりの数の自生のアジサイを見ることができる。 

 

相楽園のアナベル

 

神戸市はいまから49年前の1970年、アジサイを「市民の花」に制定した。全国でも40弱の市区町村が、アジサイを各自治体の花としている。各地にはアジサイ寺と呼ばれる寺院も多く、梅雨時期には多くの訪問者を集めている。関西では京都市西京区の善峯寺、宇治市の三室戸寺、大和郡山市の矢田寺などがよく知られている。 

なぜアジサイ寺が多いのか。一説によると、不順な天候が続く梅雨時は、体調を崩して亡くなる人が多い。そのためこの季節、仏花として調達しやすいアジサイが重宝されたという。しかも管理に手間がかからず、群生するため少々切りとってもなくならない。

 アジサイには不思議な力がある、という人も多いという。阪神御影のタナカ生花店で話を聞くと、「関西では、アジサイの切り花を半紙でくるみ、茎の部分を紅白の水引でむすんで、トイレに逆さにつるすと婦人病予防に効くといわれます。金と白の水引でむずび、玄関につるせば、金運が上昇するともいわれますね」とのこと。

 

セイヨウアジサイ

 

 このアジサイ、原産国は日本。これが江戸時代後期にヨーロッパに渡った。当時、プラントハンターと呼ばれる人たちが、世界各地でめずらしい植物を探しだし、ヨーロッパに持ち帰っていた。アジサイも彼らの目にとまったわけだ。なかでも長崎・出島のオランダ商館にオランダ人だと偽って滞在したドイツ人医師で博物学者シーボルトは、この花をこよなく愛した。帰国後に著した『日本植物誌』(植物学者ツッカリーニとの共著)にはアジサイ属14種が新種記載されている。 

いまでもよく見かけるのはホンアジサイ。これをもとにヨーロッパで改良されたのものが逆輸入され、セイヨウアジサイと呼ばれている。大きくわけると品種は50種類、園芸品種を加えるとなんと2000種類を越えるという。

 

ダンスパーティ

 

最近の人気品種となると、たとえばダンスパーティは日本に分布するガクアジサイとアメリカの園芸種をかけあわたもので、相楽園でも見られる。ガクアジサイに比べて装飾花の数が多く、美しくあでやかな品種だ。シュガーホワイトはその名のとおり白いアジサイで、オランダでつくられた。白いアジサイといえばアナベル。房状の花は20cm以上になって見ごたえがある一方、花の一輪一輪は小さく、繊細で柔らかな印象がある。これは園芸品種ではなく、アメリカ・イリノイ州のアンナ市の近くで発見された野生種だ。 

アジサイが世界でもっとも親しまれているシュラブ(低灌木)ともいわれるのも、品種の多さが大きな理由だ。京都市上京区のアジサイ専門店アジュールで聞くと、ドライフラワーにすれば「もとの色が抜け、くすんだようなアンティーク感がでて、素敵な雰囲気です」とのこと。踏みこんでいけば、なかなかに奥の深いアジサイの世界がありそうだ。(文:大西昭彦)

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