番組審議会

第482回 放送番組審議会

開催日  2019年11月12日(火)
出席委員 7人

議事1  事件・事故報道のテレビニュースとネット配信上の取り上げ方について以下の実例に基づき、合評をした。

1.ネット上ニュースの削除要請「不起訴」の場合
2.ネット上ニュースの削除要請「起訴」の場合
3.被害者(その家族を含む)からの匿名要請
実際に放送したニュース映像を視聴してもらい、一連の流れを説明した後、委員に意見を求めた

各実例の概要と委員の主な意見(要旨)

1.ネット上ニュースの削除要請「不起訴」の場合
当社は事故現場でない容疑者自宅を映像として使用、さらに実名で報道した。その後当社サイトに記事をアップした(当該記事は現在削除済み)。後日視聴者(不起訴になった容疑者)から当該記事の削除、さらに拡散された記事に関しても削除要請があった。

【論点】
・事件現場ではない容疑者自宅の撮影・放送・配信、及び実名での報道について
・放送と同一内容のテキスト・動画のネット配信、及びその掲載期間について
・配信記事の削除要請について。また当社サイト以外に拡散した記事削除について

委員の主な意見(要旨)
  • 「映像が必要なのはわかるが、特別な意味がない場合は、住所が特定される映像などは使うべきではない」
  • 「基準をもって報道することが大切、あまり気にしすぎると報道にならない」
  • 「不起訴になる場合も考えた上で、報道するべきである」
  • 「容疑者が教育公務員ということもあり、県民に納得いただくためにも正当な報道であった」
  • 「時代が変わっていく中で、若者に警鐘を鳴らす意味でもひるまずに報道し続けて欲しい」
  • 「固有名詞を使用した時点で、個人を特定できる時代になってきているので、固有名詞の使用は熟慮すべきである」
  • 「拡散された記事の削除要請については、サンテレビが対応することではない」
  • 「テレビのニュースとネットニュースは別物と考えるべきである」
  • 「ネットニュースの掲載期間について、期間(現在は基本的に1週間)で縛るのではなく、ニュース性の有無で判断するべきである」

2.ネット上ニュースの削除要請「起訴」の場合
当社は容疑者の名前、さらに運営する施設名を実名で報道した。その後当社サイトに記事をアップした(現在容疑者は匿名、施設名は実名)。後日視聴者(起訴された容疑者の友人)から、「更生の障壁になる」などの理由で記事の削除要請があった。

【論点】
・「更生の障壁になる」としての削除要請について
・有罪判決を受けた者と不起訴処分者で対応は違えるべきか
・放送で容疑者名と共に、施設名も実名で報道したことについて

委員の主な意見(要旨)
  • 「報道に誤りがあった場合や、新しい情報が出た場合は、再度報道する必要がある」
  • 「テレビ、ネット、紙面、SNSそれぞれにおいて報道基準をつくり、判断する必要がある」
  • 「起訴、不起訴という結果で対応を判断するべきではない」
  • 「施設名の実名報道に関して、一律で考えるのではなく、ニュース性の有無で判断するべきである」

3.被害者(その家族を含む)からの匿名要請
当社は被害者の男性を実名報道で放送した。その後当社サイトに記事をアップした(匿名表記)。後日視聴者(被害者の家族)から、匿名報道の要請をしたにも関わらず、実名報道されたことに対する苦情が入った。

【論点】
・本件のような自然災害による被害者家族からの匿名要請について
・また事件・事故の被害者(いずれも家族を含む)からの匿名要請について
・放送の対応と配信での対応(例えば実名から匿名に変えるなど)について

委員の主な意見(要旨)
  • 「死者には個人情報保護の必要がないというスタンスの報道が多いように感じる」
  • 「真実性を高めるために死者の実名を出しているのであれば、テレビは基本的に信用されているので、必要ないように感じる」
  • 「震災の際など、死者の実名報道が求められているときのみ、実名を出せばいいのではないだろうか」
  • 「自然災害などの場合、注意喚起の意味でも場所などを報道することは大切である」
  • 「固有名詞を出すことで、事実が明らかになることもある」
  • 「死者にも人格があるので、死者の数を人数だけで表すのは、おかしいように感じる」
  • 「ネット配信においての報道基準などを自社のサイトに記載してもいいのではないだろうか」

議事2  10月度視聴者リポート

10月分の視聴者からの問い合わせ、意見、要望について報告した。