「154」を記憶に刻んだ谷口アナ最後の名実況

〈9/19 阪神 0-8 ヤクルト (甲子園)〉

勝:小川
敗:高橋遥

「1、2塁間! 154安打!おめでとう近本光司!
70年のセントラル・リーグの歴史の1ページが塗り替えられました。
近本光司、あのミスタープロ野球 長嶋茂雄さんの153安打を今日の第1打席で塗り替えました。
ぶち破れ!オレがヤル
近本光司がやりました。」

この日のサンテレビボックス席がラスト実況となる谷口アナが、近本のセ新人最多安打新記録更新の瞬間を伝えてくれました。
そしてこの続きには、私が最も聴きたかったフレーズがありました。

「今日、球場に来られなかったみなさん、今、ボックス席をご覧くださったみなさん、すべてのみなさんが歴史の証人となりました」

「歴史の証人」です。
谷口アナといえばこのフレーズだと思っているので、昨日の日記を書いたときもこの言葉が頭にありました。

試合開始から終了まで放送するサンテレビボックス席だからこそ証人になれる。
確かに見た。近本のその瞬間を。谷口アナからお墨付きをもらった。
谷口アナは、長嶋茂雄さんの偉大さを讃え、そして私たちに伝えてくれながら、近本にもこの記録だけでなくもっと大きな選手になってほしいと、タイガースファンである谷口アナ自身の願いもひしひしと伝わるようなお話もたくさん聞かせてくれた。

谷口アナの実況がとても好きだから、聴けなくなるのが寂しい。
一つ一つのプレーや、選手の心情に添い、解説者の方の話を引き出して、紐解くような実況をされていた名アナウンサーだ。
ときには、バットを折る選手に静かに「これはいけません」と諌めてくれたりもした。
谷口アナの静かに飛び出すダジャレも好きだった。

初めてお会いして、ご挨拶できたときは嬉しかったな。
爽やかな見た目と落ち着いたお話ぶりからは想像もできなかったが、カメラを構えていたらパッと入ってきておどけて被写体になってくださったり、過去の失敗談なんかも楽しく聞かせてくださって、真面目な方なのでそこがまた面白かったり。

長きに渡り、来る日も来る日も弱いタイガースを実況しながら見守って応援されてきて、よりによって最後の実況の日にまで、完全なまでの敗北を喫したのだけれど、そういえばどんな日も、谷口アナの実況からは、やり返せというエネルギーはもらっても、情けなさや怒りというものを感じたことがなかったな。
今日もそうだった。

谷口アナ、おつかれさまでした。
またお会いできたら、そのときはまたポーズとってください(笑)

[今日のマルテ]

セカンドゴロ、捕りに行きがち(笑)

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