ショート鳥谷

〈9/28 中日 4-3 阪神 (ナゴヤドーム)〉

:岡田
:岩瀬
:才木

ドラゴンズ黄金期を支えた荒木が決勝打、そして岩瀬が前人未到の1000試合登板を達成。1点リードで抑えで登板、セーブもあげたのには参った。
ホームゲームはこのカードが最後とあって、勇姿を目に焼き付けたいファンはかけつけたのだと思うし、それに本気で応えた二人はさすがだった。
タイガースファンの私でさえ、何度も観た荒木の二塁打と走塁、そして岩瀬でゲームが終わるのを、これで当然のような気がして観てたし、そう思うのも長年に渡って習性にされたからかな。
引退する選手の花道起用には見えないね。森監督の情熱が伝わる起用だった。

一方、とても自然に負けたタイガース。
あと少しで捕れるボールに追いつけない、あと少しでセーフにならない走塁は、消化試合の選手のそれ。
目標とするCS出場はあるはずなのに、その先に日本一があるはずなのに。…って書いていて恥ずかしくなった…。

北條の離脱後、打の部分で目をつぶってでも使われてきた森越が、守備で足を引っ張った。
守備が上手いが故の不運もあったと思っているけど、あれだけ続くとさすがにこの日はもう使えない。
森越の打順に代打で出場したのは鳥谷。
これは代打だけだろうと思っていた。好調の大山を外す理由もないから、ショートの守備に就くのは植田海だと。
ところがこのあとキャッチボールを始めて…

「ショート鳥谷」の姿を見て嬉しくないわけがない。
その場所に立った鳥谷がはにかんで笑うのを見て涙が出そうだった。
一番似合う場所。
2年経ってもそれは全く変わっていなかった。

だけど、この起用法はこの3年で一番悪いと思った。
鳥谷が最後にショートの守備に就いたのは、2016年9月2日。
それからサードへのコンバート。1年経ったら今度はセカンドへ。いや、セカンドでもなかった。代打要員だ。
それが、サード大山の不調でサードの守備に就き、大山が戻るとまた外され…
やっとショートに定着した北條が離脱すると、植田海を守らせ、うまくいかないと今度は森越を入れた。
そして、もう他に手元のカードがなくなってから、切ったカードが「ショート鳥谷」だった。

なんていうか、どこにも、誰にも、未来がないんだ。
これじゃただ、足らないところにパズルをはめただけじゃないか。

鳥谷はどんな気持ちでこの交代を受け入れたのだろう。満点の気分であるとは想像しない。
私には、今さら何を、という気持ちがある。
若手起用の犠牲になったのは、鳥谷のモチベーション。
ショートで北條を使ってきたことは悪いとは思わない。それはチームの未来を見ていた起用だからだ。
だからこそどうして、せめて、北條が離脱したタイミングで「鳥谷頼む」と言えなかったのだろうか。

選手が「お前の出番だ」って言われて、意気に感じてグラウンドに走り出す。
そんなシーンを長いこと見てない気がするよ。

This entry was posted in コラム. Bookmark the permalink.