第20回 私の記憶に残るあの試合⑥ ~2019年4月30日 平成最後のプロ野球中継~

広島 0 0 0 0 0 0 0 3 0 3
阪神 1 1 0 1 0 0 3 2 x 8

「平成最後の○○」という言葉は昨年みなさんもよく耳にしたことでしょう。いわゆる天皇退位特例法に基づき、天皇陛下が退位されたのは202年ぶりのことでした。それに伴いゴールデンウィークも長くなり、まるで年明けのカウントダウンを祝うような雰囲気だった昨年の4月30日の中継が今回のお話です。

その日行われたプロ野球の試合はセ・リーグの3試合でした。他の2試合はデーゲームで、甲子園球場でのタイガース対カープが唯一のナイターです。ということはこの試合が「平成最後のプロ野球の試合」となり、その試合をサンテレビが中継させていただいたわけです。

この日の中継車Dを務めさせていただくにあたり、何か演出できることはないかな、と考えました。ベタではありますが、「平成を振り返る演出を」ということを考えました。オープニングの30秒の途中までを、サンテレビが平成元年の4月に中継した甲子園球場の映像のVTRを流しました。そのVTRの最後のカットは⑤カメから見える球場全体が映る映像です。それと全く同じサイズでそのままVTRの映像から現在の⑤カメの映像へ、という演出を入れました。

平成元年当時のテレビ画面の画角は「4:3」。現在の「16:9」とは違うので何のフリも無しにいきなりこの映像が中継で映ると、視聴者の方の何人かは「虎辞書なる」が始まったのではないかと勘違いされた方もいたかもしれません(笑)。ちょっとそんな遊び心も入れたくなる試合でした。

5回ウラが終わるとグラウンド整備に入り、イニング間はだいぶ長くなります。その間も時間があるので、そこで解説の福本豊さんと掛布雅之さん、実況の谷口英明アナウンサーに平成のタイガースを振り返っていただこう、と思い、冒頭には村山実監督に始まり金本知憲監督までの歴代の監督を10秒ずつVTRで映し、ご覧いただくということも行いました。懐かしい気持ちになった方々もいたでしょう。
 
昨年の5月1日は、サンテレビの開局50周年の日でした。改元の日とも重なり、この週の中継は「レジェンドウィーク」と題し、いつもの福本豊さんはもちろんのこと、掛布雅之さんや田淵幸一さん、小山正明さんにご出演いただくなど豪華解説陣の方々のお話も聞伺えて大変興味深かったです。この試合でも福本さんと掛布さんに小道具をお持ちいただくなど協力いただきました。

そのお二人に谷口英明アナウンサーの実況。昭和63年から『サンテレビボックス席』で実況アナウンサーを務められた谷口さんは、平成最後のプロ野球を語るのにうってつけの方です!小学生のときからサンテレビの野球中継を観ていた私にとってはボックス席の実況は谷口さんの印象がとても強いです。昨シーズンをもって『サンテレビボックス席』の実況アナウンサー生活を終えられた谷口アナウンサーですが、普段から落ち着いた語り口、ダンディさ、ゴルフコンペをすればいつもベストグロス賞、男の憧れです。

この豪華な顔ぶれの試合の中継車Dをさせていただき感無量でした。試合もタイガースの快勝で言うことなし!本当に良い試合でした。節目の中継は緊張もしますが、やりがいもひとしおです。

この試合では、甲子園球場でも粋な演出がありました。中継最後のカットは何をしようか、と考えていましたがそのタイミングでバックスクリーンに大きく「ありがとう 平成」と映ったのです。その表示をラストカットとして、エンドVTRに移っていきました。こういう細かな演出ができる甲子園球場はやはり素晴らしい球場です。

ここまで6回にわたり書いてきました「私の記憶に残るあの試合」ですが、他のディレクターやアナウンサーの「私の記憶に残るあの試合」も聞きたい方が多くおられると思います。また可能であれば今後も取材して書かせていただくかもしれません。ぜひお楽しみに!そして、次回は『サンテレビボックス席の裏側』第1部の最終回です。まだまだ連載は続く予定ですがお楽しみに!

虎ギャル応援日記より
(当日の日記へのリンクはこちら)

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