第32回 2023年のプロ野球が開幕!でもあえて去年を振り返ります! ~2022年8月23日 阪神vsDeNA~

前回のコラム更新が昨年の「サンテレビボックス席」初中継の前、ということで一年も書いていませんでした…。申し訳ございません…。

今年のプロ野球が開幕しました!執筆時点では開幕3連戦をなんと3連勝!見事良いスタートが切れたのではないでしょうか!
開幕3連戦は京セラドーム大阪でのDeNA戦でした。京セラドームでのDeNA戦というと、個人的に去年の「サンテレビボックス席」で思い出に残っている試合があります。
それは去年8月23日の試合です。阪神は青柳投手、DeNAは今永投手のエース対決となった試合は今永選手やリリーフ陣に阪神打線が0点に抑えられ完封負けをした試合なのですが、この試合の9回に佐野選手にホームランを打たれた場面がありました。

DeNAでは佐野選手や牧選手がホームランを打つと、中継カメラに向かって「デスターシャ」とポーズを決める流れがあります。先日のWBCでも牧選手がやっていて記憶にある方も多いでしょう。
このパフォーマンスを行うことは当然知っていましたが、実際の中継では佐野選手が打った後は打たれたピッチャーや阪神中心の映像を選択していたので生では映しませんでした。何度もこのコラムでも書かせていただいていますが、あくまでも「サンテレビボックス席」ですので、阪神中心の映像になります。
ですが、思った以上に佐野選手やその周りにいる桑原選手や森選手、今永投手らがテンションマックスでサンテレビの中継カメラ(④カメ)に向かってそのパフォーマンスをやってくれていたので、何か映さないのももったいないし、これを楽しみにしているファンにもテンションマックスの選手たちにも申し訳ないな、という気がしてしまいました。(京セラドームではベンチの中の様子を③④カメで映せるので、そのような映像が撮れます)
そこで、その後のリプレイのシーンでそのパフォーマンスを流したのです。ただ、その瞬間も、試合が終わってからも「サンテレビボックス席」としてあれをわざわざリプレイに入れてまで映すべきだったかどうかモヤモヤしていました。

翌日はABCテレビさんとのリレー中継を行い、その次の日も同カードの中継の担当でした。カメラマンの皆さんにも打合せのときにDeNAの選手のパフォーマンスについて意見を伺おうと思っていたら、その前に逆にあるカメラマンさんから「あれを映すのはあのタイミングで良かったのかなぁ」ということを聞いてくれました。やはりスタッフの中でも色々な意見がありました。
「プロ野球ファンとしては、DeNAの選手があのパフォーマンスをやる、というのも見たいので映さないという選択肢はないのでは?」という意見や「やっぱりサンテレビの中継である以上、タイガース中心にすべきだし、やはり打たれてしまったあの状況で相手チームが喜ぶパフォーマンスを見たくないと思う人も多いかも」という意見がありました。こればかりはどちらの言い分も正しいでしょう。ただし、自分が選択したのはパフォーマンスを見せた、とはいえ生ではなくリプレイの中でした。ちょっと中途半端な見せ方をしてしまったというのは反省点です。映すなら生で映すべきでした。

そこでの結論は、やはり一般的な野球ファンにとって知名度の高いパフォーマンスである以上見たい方も多いだろう、ということで同じような状況があれば生で映すことにします、という話をしました。しかし、もちろん「サンテレビボックス席」ですので、タイガースの選手たちの動きがそのパフォーマンスよりも優先するべき動きであれば、そちらを優先しましょう、という結論に至りました。

他のチームでも有名なパフォーマンスがあります。西武ライオンズの山川選手の「どすこい」パフォーマンスなどは気になるでしょう。みなさんはいかがでしょうか?
まあそんなことを気にしなくてもいいくらいにタイガースの投手たちがそういった選手たちを抑えてくれたらいいのですが。それに期待しましょう!

みなさんが数多いチャンネルの中から「サンテレビボックス席」を選んでご覧いただくわけですから、そのご期待以上の中継ができるように日々心掛けています。新しいことにもどんどんチャレンジしたいですし、これまでの伝統の見やすい、タイガースファンに寄り添った中継も続けていきます。「サンテレビボックス席」2023年シーズンのスタートは4月6日のマツダスタジアムでの広島vs阪神です。今年もプレーボールからゲームセットまで!よろしくお願いします!

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第31回 2022年シーズンもサンテレビボックス席をよろしくお願いします!

大変ご無沙汰しております。
書く書くと言いながらなかなか続編を書くことができず、あっという間に2022年のプロ野球シーズンも始まってしまいました…。
今回は2022年の『サンテレビボックス席』中継を3月31日に控えたこの状況で、ぜひとも皆様にはサンテレビボックス席を楽しんでみていただけるよう、非常に残念で悔しい試合となった3月25日の開幕戦での取材などで感じたことを記せればと思っております。

このオフの『熱血!タイガース党』では矢野監督、平田二軍監督、タイガースの選手たちにスタジオへお越しいただきました。3月18日の放送で、「名場面集」と題してそれぞれの印象に残るひとことをまとめたのですが、あらためてそのあたりをご紹介いたします。
矢野監督はよく「俺たちの野球」ということをおっしゃいます。なんとなくイメージはできるのですが、実際に何が「俺たちの野球」なのかをぜひとも番組の中ではご説明していただこうと思っていました。「最後まであきらめない。挑戦し続ける。ファンを喜ばせる。」こと矢野監督の言う「俺たちの野球」です。

3月25日の開幕戦、初回の攻撃から塁に出た近本選手と中野選手が盗塁を仕掛けました。
結果は二人ともアウトでしたが、「今年も隙あらばタイガースは走ってくるぞ」という意思表示ができたのではないでしょうか。「挑戦し続ける」という意味では、その試合、一度アウトになった中野選手は盗塁をその後成功させました。
今シーズン最後まで「挑戦し続ける」野球をぜひとも見たいと思っています。

「最後まであきらめない」ということも、開幕戦では出たのではないでしょうか。
3回表の1アウト1塁の場面でマルテ選手のサードゴロに1塁ランナーの中野選手は封殺され、ダブルプレーを狙われますが間一髪でマルテ選手がセーフとなりました。これも少しでも手を抜いてしまうとアウトになったプレーです。こういう意識がチームに根付いているのは矢野監督の言葉の効果ではないでしょうか。その後打線がつながり、得点が入ったというのも、「最後まであきらめない」というプレーのたまものでしょう。

逆転されて迎えた最終回でも守護神・マクガフ投手を相手に2アウトからロハス選手のフォアボール、小幡選手のヒットで一本出れば逆転サヨナラという状況までもっていきました。最後は力尽きましたが、3シーズンぶりに満員御礼となったスタンドは最後まで盛り上がりました。「最後まであきらめない」というプレーがファンの心を揺さぶったのでしょう。
このコラムを執筆している現段階では開幕から4連敗のタイガースです。「ファンを喜ばせる」という意味ではまだ私を含め喜ぶことができていません…。なんとか勝って喜びたい!早く喜びたい!31日の『サンテレビボックス席』でその喜びをみんなで共有できればと心から願っております。

31日の先発投手には秋山投手が有力視されています。秋山投手と言えば、カープ戦に数多く投げている印象があります。昨年も24試合登板したうちのなんと10試合が対カープでした。「正直投げづらかった」という話を、今年1月に『熱血!タイガース党』にご出演された際には話されていましたが、結局カープ戦で今シーズンを秋山投手は迎えそうです。「毎回どうしようか工夫しながら投げている」という話もありましたので、どのような工夫をしながらカープ打線に立ち向かうのか、31日の中継ではそのあたりを視聴者の方々に印象付けられるよう、ディレクターとして私も頑張ります!
秋山投手と言えば、あまり具体的な目標や、「タイトルを獲りたい」などを宣言するようなタイプでは無い印象がありました。2020年シーズン後に、スタジオへお越しいただいたときは「タイトルは特に狙っていません」とおっしゃっていたからです。それが今年のオフには「今シーズン15勝」という具体的な数字も上げていました。その影響を与えたのは青柳投手だそうです。番組の本番でも話されていましたが、昨年青柳投手が「13勝」という言葉を常々口にし、それを達成したことにすごく刺激を受けたそうです。本番前の楽屋でも同じ話を秋山投手はされていたので、本当に刺激になったのでしょう。
140キロ前後の直球と、カーブなどを武器に良いコントロールで次々と打者を打ち取る秋山投手は、個人的に見ていて本当に楽しいピッチャーです。秋山投手の今シーズンに“カケル“思いを楽しみにしています。

開幕戦の取材で個人的に大変感動したことがあります。それは先にも記しましたが、入場者数の制限が解除されたことにより、開幕戦は35000人ものお客さんで満員となったことです。1回表、開幕投手の藤浪投手が投げた1球目がストライクとコールされた瞬間の、拍手やメガホンをたたく音の大きさは昨年までとは比べ物にならないものでした。やはり満員のお客さんがいるのはいいものだな、としみじみと感じました。
31日の『サンテレビボックス席』初戦はマツダスタジアムからの中継です。昨年入団したばかりの佐藤輝明選手や中野選手などは、初めて感じるアウェーの雰囲気ではないでしょうか。熱いカープファンの応援のなか、どのようなプレーを2人が見せてくれるのかも注目して中継へ臨みたいと思います。

解説には昨年現役を引退された鳥谷敬さんが初めて『サンテレビボックス席』の放送席に座ります。走攻守すべてにおいて高いレベルで活躍し続けた鳥谷さんが何をお話されるのか、それも楽しみながら視聴者の方々に見やすい映像・音声をお届けできるよう努めてまいります。今シーズンもプレーボールからゲームセットまで!『サンテレビボックス席』をよろしくお願いします!

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第30回 東京ドームからサンテレビボックス席初の中継!~2021年8月17日&19日 DeNA対阪神~

『え?ウソやろ?東京ドームの試合やのにサンテレビで中継するん?ないない!冗談もほどほどにしいや!え?ホンマにあるん?見よ!』(2021年8月17日のラテ欄)

2021年8月17日、サンテレビボックス席が初めて東京ドームから中継されるという記念すべき日となりました。今回はそれに関して振り返ります。


 
「開局50年以上野球中継をしているのだから、いくらなんでも東京ドームから初めてということはないでしょう。」と思われる方も多いと思いますが本当なんです。東京ドームを本拠地とするのはジャイアンツで、普段はサンテレビも中継することはできません。取材で東京ドームに入らせていただいたことは何度もありますよ!(※第22回参照)

今年は東京オリンピックが開催され、その野球の会場が横浜スタジアムとなったことで、ベイスターズ主催の東京ドームでの試合が行われることとなりました。それをサンテレビが放送させていただくこととなったのです。貴重ですね!

東京ドームからの野球中継はこれまでに何百試合と視聴者として見てきましたが、どこにカメラを置いて、どのように中継するべきか、というノウハウはサンテレビにはありません。中継に先立って4月に現地での下見が行われました。

初めて中継を行うところや、年に一度しか中継しないようなところで放送を行う際には事前に下見が行われます。そこで、中継車をどこに停めるのか、中継カメラをどこにセッティングするのか、スタッフの動線はどこなのか、どのように電波を現地から送るのか、など実際の目でチェックします。

『サンテレビボックス席』のビジター球場での基本カメラ台数は6台です。できるだけ同じ配置でいつもの中継の雰囲気を味わっていただけるような配置を技術スタッフとも話し合いながら決めました。下見から当日までは球団や球場の職員の方々と事務的な確認・打合せが行われていきます。(中継スタッフや出演者のお弁当をどうするか?なども含めてです!)

技術スタッフさんの当日のプレッシャーはすごいものだったと想像されます。「プラン通りいかなかったら?」「映像や音声がサンテレビ本社へつながらなかったら?」など、初めて中継する場所だと、やってみるまでわかりません。17日の中継が終わったあとはみんなホッとしていました。技術スタッフさんに感謝です!

私としては当日どのように東京ドームからの中継、というのを見せようか考えていました。せっかくなので球場の中の映像だけでなく、外観の映像もお届けできれば、ということで事前に外観の映像を収録しました。あの独特なかたちのドームの全景を映すことができたときは私も「おお!サンテレビっぽくない映像!」と思いました。

中継でもたまに東京ドームならではの映像を映しましたが、試合としては特に「東京ドームから初めてサンテレビが中継!」という感じを出しすぎないようにしました。サンテレビとしては歴史的な日となりますが、タイガースが東京ドームで試合を行うことはよくあることなので、正直試合内容には影響しないからです。試合では淡々といつもと同じような中継ができれば、と思って中継したつもりです。

逆に試合前の情報番組「キャッチ+」でのタイガース試合直前情報「ボックス席SOON」のコーナーでは大いに「東京ドームからのサンテレビの中継ですよ!」と橋本アナウンサーと村上アナウンサーに盛り上げてもらいました。橋本アナウンサー、めっちゃ気合い入っていましたね!

8月17日と19日の中継は1勝1敗。東京ドームからの勝ち試合と負け試合の両方を経験しました。この2試合で大活躍だったのは佐藤輝明選手です!17日にはあのレジェンド・田淵幸一さんに並ぶ球団の新人最多本塁打数の22号を含む2本のホームラン!19日にはその記録を塗り替える23号ホームランを打ちました。

19日の試合前に、もし佐藤輝明選手が23号ホームランを打ったら、どのように映そうか、という話を打ち合わせで行いました。こういう話をするとめったにその選手がホームランを打つことは無いのですが…良かったです!④CAMさんに頑張っていただき、ダイヤモンドを駆け抜ける佐藤輝明選手を見せられたと思います。
強いて言えばあのゲームに勝っていれば…。ということで、負ければすぐに中継を終えることでおなじみの『サンテレビボックス席』ですが、そのすぐに中継を終えるまでの間に佐藤輝明選手の23号の映像を何回も出しました。あまりやらないことでしたが、長い球団の歴史でその球団記録を塗り替える一発でしたから、その偉業を称えたかったのです。いったい彼は今シーズン終了までに何本ホームランを打つのでしょうか。本当に華のある選手ですね。

今回の東京ドーム中継を実現するにあたって、色々な方々のサポートをいただきました。無事中継することができ、あらためてサポートして下さった社内、社外の方々に感謝申し上げます。また、視聴者の皆さまからも「サンテレビが東京ドームから中継するの面白いやん!」と肯定的な意見をたくさん頂戴しました。ご覧いただいた皆様本当にありがとうございました。

さて、今シーズンもおよそ100試合が経過し、ここからが山場です。3チームによる優勝争いはどうなるでしょうか。もちろんタイガースがアレすることを祈りながら、我々中継スタッフも皆さまに良い映像をお届けできるよう頑張ります。ここから『サンテレビボックス席』の中継も多くなりますので、お楽しみに!

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第29回 新社屋へお引越ししました ~スポーツ部のお宝アイテム大公開!~

サンテレビは6月14日から、JR神戸駅近くの新社屋より放送を行っております。1981年から40年、サンテレビはポートアイランドの旧社屋から放送を行いましたが、大きな転換点を迎えました。


スポーツ部は5月末にポートアイランドからお引越しをしました。元々私のデスクの上には資料やらなんやらであふれかえっており、荷造りが憂鬱で仕方なかったのですが、なんとか断捨離をしまくり、無事スッキリとしたデスクで現在仕事をすることができています!

自分のデスクだけではなく、スポーツ部全体の資料も40年の歴史を感じるほどたくさんありました。1970年代のスコアブック、『熱血!タイガース党』よりもずっと前のタイガース応援番組の台本、1985年の阪神日本一メンバーのサイン色紙、もちろんこれまでの中継や番組で使用したテープやディスクなどもたくさんあります。その中からスポーツ部で所有している掘り出し物をいくつかご紹介させていただきます。

まずはこちら、この達筆な方が書かれたサイン色紙は誰のものでしょうか?

正解は…あの2代目ミスタータイガース・村山実さんのサインです!書道の先生が書かれたような字ですよね。ご自身の名前が書かれた印鑑も押されています。右に記されている言葉は「○○は努力」と書かれているように見えます。村山さんの座右の銘は「道一筋」であったかと思いますが、この「○○は努力」の○○を読める方がおられましたら、何と書かれているのか教えてください!

続いてもサイン色紙です。これは誰のサインでしょうか?

筆記体で書かれている文字は「Randy Bass」そう、あの史上最強助っ人ランディ・バースさんです!阪神タイガースが日本一になったのは私が生まれる前のことですが、さすがにバースさんの凄さは神戸で生まれ育った私にも語り継がれております!サインを見つけたときには興奮しました!本当に貴重ですね。もちろんこれらのサイン色紙も新社屋へ持ってきておりますのでみなさんご安心ください!

次のお宝はこちら!

これは何でしょうか?正解は…

福留孝介選手のバットです!『熱血!タイガース党』にゲスト出演された際にご寄贈いただきました。以前は番組のセットの中にも置いてありました。未使用のバットですが、福留選手の名前も印字されており、とてもきれいです。持ってみるとけっこう重いんです。このバットで150キロ以上のボールを100メートル以上飛ばすなんて…。あらためてプロのすごさを思い知らされます。

最後はちょっと変化球ですが、こちら!

これは社内の誰に聞いてもいつ、どのような目的で作られたのかが分からないという謎の物体…。よく理髪店の外に置いてあるサインポールのようなものです!

このサインポールのようなもの、光って回るんです!

保存状態も良く、現役バリバリで使えそうなので、何かしら使い道を考えています。スポーツ部員が出社しているときにこれを点けて回すのか、もしくは『サンテレビボックス席』の中継が行われる日に点けるのか…。検討します!

このサインポールのようなものは倉庫の奥深くに眠っていたものです。この他にもこんなものがあったのか!というものがたくさんありました。一つ一つチェックをしていると荷造りがなかなか進まず大変でしたが…。

たくさんの思い出がつまったポートアイランドを離れるのは寂しかったですが、新社屋での生活も良いものです。今後も新社屋から数多くの良い放送ができるよう、スポーツ部のみならず、サンテレビ社員一丸となって、視聴者の皆さまの「いつもあなたのお隣サン」として頑張ってまいりますのでどうぞよろしくお願いします!

『サンテレビボックス席』は6月に入ってからしばらくありませんでしたが、来週22日・火曜日から24日・木曜日のナゴヤドームでの中日vs阪神を3試合とも全て完全生中継致します。さらには25日・金曜日の甲子園球場での阪神vsヤクルトも中継します!4試合連続サンテレビをぜひご覧ください!

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第28回 2021年サンテレビボックス席の裏側② ~4月1日 広島vs阪神~

阪神 1 0 3 0 0 2 0 0 0 6
広島 0 0 0 0 0 0 2 0 1 3

4月1日はエイプリルフール。この日の『サンテレビボックス席』のテレビ欄には「今年は優勝や!4月1日やけど嘘ちゃうで!」と書かせていただきました。嘘ではなく本当にタイガースの優勝を願っていますし、今年は優勝できるやろ!という勝手な自信もあります。

この日の中継で注目したのは近本選手でした。近本選手はこの試合までの5試合で1安打と思うような結果が出ていませんでした。昨年も開幕直後は苦しんだものの、最後には3割近くまで打率を上げる活躍を見せただけに、私自身の勝手な意見としては「去年と同じように心配しなくてもそのうちまた打ってくれる」と思っているのは事実です。また、この5試合の結果だけを見て、それを騒ぎ立てるようなことはしたくないと思っていました。
ただし、どうしてもタイガースファンの皆さんは気になってしまいますよね。いつでも応援している選手には良い結果を残してもらいたいものです。この日の実況、湯浅アナウンサーとも、「近本選手をフィーチャーした中継にするけど、打てないという事実だけを見せるのではなく、1本ヒットが出てほしい!打とうと頑張っている選手の姿や、それを応援するファンの姿を見せることができれば」という話で同じ方向を向いて中継に臨むことができました。映像だけでは真意が伝わりづらいものも、実況アナウンサーの言葉で視聴者の皆さまに我々の意図をお伝えすることができると思っています。このように、アナウンサーさんとの意思の統一も中継には欠かせません。
近本選手は1打席目にヒットが出ると、その試合に複数安打を打つことの多い選手です。1打席目は大事なので、いつもは早めにする相手の投手紹介もちょっと待ってから行おう、という打合せもしていました。相手投手の紹介をしたのは、糸原選手の打席のときでした。マニアックな見方をされている方は気づいていただいたかもしれません!
5回表、この日の3打席目、2ボール1ストライクで迎えた4球目を力強くライト前へ運びました。1塁ベース上では笑顔の近本選手の姿が。VTRでもただのヒットではない、ということを強調したかったので、リアクションを重ねたVTRを出しました。近本選手の笑顔を見ると、当たり前のことですが「結果が出ると嬉しいんだな」と思います。中継では選手に変な責任を負ってもらうのではなく、前向きに応援できるような撮り方などができればと思います。

この日は解説が福本豊さんだったということもあり、湯浅アナウンサーとの話し合いで近本選手の守備にも注目していました。近本選手だけではなく、ルーキーでライトの守備に就く佐藤輝明選手へ、どのような声をかけるのか、をフィーチャーできればいいなと思っていました。
外野手はそれぞれの打者の打球の傾向や、風向き、そのときのカウント、など様々な要素から1球ごとに声をかけあいながらポジショニングを変えています。その様子をどこかでとらえられれば、というのが一つのテーマでした。
中継では湯浅アナウンサーから福本さんへ外野手の声かけやポジショニングの話が始まりました。②カメさんの広い映像で映る両選手、そして③カメさんで近本選手、④カメさんで佐藤輝明選手のアップを撮りました。それだけでも十分成り立ってはいるのですが、ふと中継車の中にあるモニターを見ると、画面の真ん中を縦のワイプで2分割したモニターが見えました。「これだ!」ということで、2選手のアップを分割して同時に映すことができました。それまで何も言ってなかったのに、とっさの要望に応えてくれたスイッチャーさんとカメラマンさんは素晴らしかったです。
分割画面のときにちょうど近本選手が佐藤輝明選手にジェスチャーでポジショニングを伝えていました。放送席の話と撮る映像がリンクした見やすい映像になったのでは、と思います。今後も工夫したそういう映像が撮れるように頑張ります。

この試合前の打ち合わせでは「佐藤輝明選手がホームランを打ったらどういう風に撮ろうか」という話もカメラマンさんとは話しました。というのも、すでにプロ第1号ホームランは打っていますが、サンテレビの中継ではまだ放送していませんし、期待のルーキーの一発は視聴者の方々に特に大事にお伝えしたかったからです。
自分が考えていたのは、ホームランを打ったらそこからのカット割りは佐藤輝明選手のみでいこう、ということです。佐藤輝明選手がダイヤモンドを回っている間は、ベンチの選手や喜ぶお客さんに関しては生の映像では映さず、リプレイなどでいければ、と決めていました。もう一点は佐藤輝明選手がホームランを打ったときに、ベースをどういう感じで回るのかを見たかったです。ゆっくり走るのか?それとも割と速めに走るのか?も表現したいポイントでした。
ちゃんとこういう話はしておくものですね!6回に佐藤輝明選手はホームランを打ちました。想定通りのカット割りもできました。中継をご覧になっていただいた方はどういう感想を持たれたでしょうか。「素晴らしい」と感じていただいた方も「えー!そんなカット割りかいな!」と思われた方もいたかもしれません。みなさんの印象に残るホームランのカット割りをお届けしたいといつも思っています!
実はこの他の選手がホームランを打った想定のカット割りについても話していました。これは企業秘密にしておきます!(笑)

今後もお伝えできることがあれば随時更新したいと思います。よろしくお願いします!

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第27回 2021年サンテレビボックス席の裏側① ~3月30日 広島vs阪神~

阪神 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
広島 0 0 0 0 0 1 0 0 X 1

昨年8月にヴィッセル神戸の応援番組について書かせていただいてから7か月以上コラムの更新を一切せず申し訳ございません!今年はもうちょっと書くことができれば…。あまり期待せずお待ちください…(汗)

2021年シーズンも始まり、『サンテレビボックス席』も3月30日の試合から年間50試合以上、もちろん今年もプレーボールからゲームセットまで放送させていただきます!みなさまどうぞよろしくお願いいたします。

3月30日から4月1日にかけて行われたマツダスタジアムでの広島vs阪神の3連戦はすべて『サンテレビボックス席』での中継となりました。私自身も3試合とも中継車Dを務めさせていただきましたので、その試合から振り返らせていただきます。

今年一発目の中継となった3月30日の試合ではやりたいことが一つありました。それはカープの本拠地・マツダスタジアムの外観を映すということです。ご存じのとおり『サンテレビボックス席』ではビジター球場から中継をさせていただくことも多いのですが、たいていは映るのはグラウンドの中やスタンドに座るお客さんの姿であり、スタジアムの外側が映ることはまずありません。

なかなかビジター球場へ足を運ぶことが難しいこのご時世で、少しでもマツダスタジアムがどういうスタジアムなのかを視聴者の方々へ感じていただきたい、と思い外観の収録を行い、放送の中にVTRで流しました。放送の中では2回、トータルで20秒近く流れました。ただ、カメラさんには色々な場所からたくさんのカットを撮っていただき(この時期にしか咲かない桜の木と絡めた映像も頑張って撮ってくれました!)、その映像からVTRさんに編集をしていただいています。思っているより時間はかかっているわけです。

球場撮影のため、普段は通らない場所をカメラさんと歩いていると、新たな発見があります。マツダスタジアムへ一度来られた方はわかると思いますが、JR広島駅から線路沿いにスタジアムへ向かう道「カープロード」から外野席へ向かうスロープの隣には室内練習場があります。その壁沿いにはカープのこれまでのリーグ優勝のシーンのパネル写真などが大きく貼りだされているのです。元々はカープロードからスタジアムへずらりと向かってくるお客さんの様子だけを撮影しようと思っていたのですが、そのパネルの中にカープの選手たちに胴上げされている緒方孝市前監督の写真がありました。この日の『サンテレビボックス席』では、その緒方さんが解説初登場だったのです。元々1回裏の前の放送席出演者紹介の前に外観のVTRを流すつもりでしたので、緒方さんのパネルの映像から放送席の紹介に移ったらベストなのでは、と思いその映像を撮っていただきました。カメラさんと「やはり歩いてみたら、ちゃんといい場所があるもんですねぇ」とお互い満足のいく撮影ができました。マツダスタジアムは中も他の球場とは違ったレイアウトや、見所も多くまさにボールパークです。またあちこちに移動しやすい時期になれば、ぜひ足を運んでいただければと思います。

さて、この日の試合はタイガース・西勇輝投手とカープ・森下投手の投げ合いとなりました。試合前からこの二人中心に展開していくだろうとの打ち合わせをしていましたが、まさにその通りです。神宮球場でのスワローズとの開幕3連戦では打ちまくったタイガース打線も、この日の森下投手の緩急があり、コントロールも良い巧みなピッチングを前になかなかチャンスを作れません。西勇輝投手もシュートなどの変化球をうまく使いながら、相手打者の内外に厳しい球を投げ、7回を1失点に抑える最高のピッチングでした。

マツダスタジアムでの中継は、甲子園球場とは若干カメラ位置が異なり、違った見せ方ができます。甲子園球場の⑦カメは、マツダスタジアムでは⑥カメとなるのですが、位置は①カメと同じバックスクリーン付近からの撮影となります。そのため、ピッチャーの手元のアップからボールを追い、バッターが打てば打球をフォローする、という撮り方になります。ということは、球の握りがわかり、どういう変化球なのかがスローVTRではっきりと見えます。(京セラドーム大阪での中継も同じ位置に⑥カメがあります)
また、バックスクリーンのスコアボードの下に、「ハイセンター」という無人カメラもあります。中継のメインカメラ①カメはキャッチャーの真正面の位置にはありません。「ハイセンター」カメラではできるだけキャッチャーの真正面に入り、ピッチャーとホームベースとキャッチャーが一直線に見えるようになっています。このカメラで見せられるのは、ピッチャーがバッターの内角や外角にどれだけ厳しいコースで投げられているかということです。(ナゴヤドームでの中継もハイセンターカメラがあります)

西勇輝投手や森下投手のような、変化球を投げ分け、また、コントロールの良いピッチャーであれば、こういった⑥カメやハイセンターカメラは大活躍です!試合前にもVTRさんとは良い投手なので、投球間にはこの2台のカメラを使った良いスローをどんどん出しましょう、という話をしていました。例えば西勇輝投手が菊池選手の内角ギリギリに素晴らしいシュートを投げたとします。投球後に中継車Dは即座に「ハイセンターいきます!」とVTRさんとスイッチャーさんに伝えます。投球後の3秒後にはそのスローVTRが頭出しされて流れます。同様に森下投手のカーブがマルテ選手の空振りを誘ったときには「⑥カメのVいきます!」と伝え、それが流れるという感じです。

VTRさんは毎試合2人で、役割分担しながら常に編集をしています。VTRさんのVTRを用意する早さはまさに職人芸です!いつ中継車DがVTRにいくかわからないのに、すぐに対応してくださいますし、ホームランのあとのVTRなどでは、「こんな良いVTRもあるよ!」とすぐに見つけて教えてくれます。試合の合間に、もちろん生中継ですので、生の映像(本線)でいかに良い映像を撮るか、というのが大事ですが、同時にそれだけでは見えていなかったVTRも私は非常に大切にしていますし、それを効果的に使うのが中継車Dの真骨頂では、とも思っています。タイガースが勝ったときの中継のエンディングで流れる1分ほどのVTRも、どんな試合でも編集をして下さっています。試合の合間に他の仕事もしながらですよ!マルチタスクがすごすぎます!

「かっこいいエンディング」ということでタイガースファンの間でにわかに有名となっておりますが、今年もVTRさんの渾身の「かっこいいエンディング」が多く見られる試合が中継できればいいなと本当に思います!

次回は4月1日の同じく広島vs阪神の一戦を振り返ります。お楽しみに!

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第26回 ヴィッセルスタジアムも観てください!

このコラムを書き始めてからほとんど『サンテレビボックス席』の話ばかりを書いてきましたが、今回は『ヴィッセルスタジアム』という、サッカーJ1リーグのヴィッセル神戸応援番組について書かせていただきます。

実は私…阪神タイガースファン歴よりヴィッセル神戸ファン歴のほうが長いんです!初めてヴィッセルの試合を観に行ったのは1996年、当時JFLというカテゴリーにいてJリーグ昇格を目指していた時期です。「神戸にJクラブを」と、ヴィッセル神戸が発足したのは1995年。その初練習が行われるはずだった日は1月17日、阪神淡路大震災が起きた日です。当初は決まって練習できる場所もなく、旧いぶきの森練習場で練習ができるようになるまで時間もかかりました。隣には仮設住宅が立ち並ぶ中での練習でしたが、周りの人々や神戸の復興を願うサポーターの応援もあり、Jリーグ昇格という目標が現実のものとなってきた時期でした。

その頃のヴィッセルには、永島昭浩選手、和田昌裕選手、石末龍治選手と地元出身のスターがそろい踏み、さらには“ドリームチーム”と呼ばれていたFCバルセロナやレアル・マドリードなどで活躍したデンマーク代表のミカエル・ラウドルップ選手やスイス代表のビッケル選手、チュニジア代表のジアード選手などJFLとは思えない顔ぶれで魅力あるチームでした。私の初めて観に行った試合はユニバー記念競技場で行われたブランメル仙台(現在はベガルタ仙台)との一戦でした。(ちなみにブランメル仙台には元ドイツ代表のリトバルスキー選手が!)
ラウドルップ選手のデビュー戦となったこの試合は、そのラウドルップセンスの2ゴールで勝利しました。圧倒的な攻撃力、華のあるスター選手たちのプレー、これにハマりすっかりそれ以降はヴィッセル神戸のとりことなったわけです。

すっかりヴィッセルファンとなった私の楽しみと言えば、サンテレビでのヴィッセル戦中継や、当時の応援番組「Go!Goal!VISSEL」でした。全国ネットのスポーツニュースではヴィッセルの話題はあまり取り上げられませんので、このサンテレビの応援番組を観るのは私にとっては楽しみでした。その番組で流れるCMまで今も覚えているくらいです。
そこから色々とかたちを変えながら2011年に不定期ながら始まったのが『ヴィッセルスタジアム』です。30分の放送の間に、いくつかの試合がピックアップされた試合を振り返る「Watch the Game」、注目の選手に番組ナビゲーターの湯浅アナウンサーが話を伺う「Watch the Player」などのコーナーが展開されます。一度無くなっていたヴィッセルの応援番組がサンテレビで復活する、とあって当時学生だった私はすごく喜んだ記憶があります。ちなみに、『ヴィッセルスタジアム』でしか見ることのできない湯浅アナウンサーのハイテンションにも驚いた記憶があります!(笑)

時を経て今『ヴィッセルスタジアム』の番組づくりを担当させていただいております。どの試合をどうやってご紹介するか、誰にインタビューするか、他にどういったコーナーをすればサポーターの皆さんに喜んでいただけるだろう、といったことを考えることはすごく楽しいです。自分ならではのサポーター目線で演出などもみんなで相談をしながら考えています。
『ヴィッセルスタジアム』のテーマとして、「番組を観てスタジアムへ応援に行こう!」ということがあります。そのため、番組のオープニングテーマや、スタジオで流れるBGM、そしてエンディングVTRで流れる「神戸讃歌」などは全てノエビアスタジアム神戸でBGMとして使われている音楽と同じです!また、番組の放送開始から続くCM前のVTRの「サポーターによるボール回し」では、サポーターの方々に「○○選手頑張れ!ヴィッセルスタジアム!」と仰っていただきながら、ボールをリレーしていき、最後にはその回にインタビューをした選手へつながる、という企画をやっています。この番組を観て本当にスタジアムへ足を運んでヴィッセルの選手へ声援を送っていただければと思っています。
今回は、このコロナ禍でなかなかスタジアムへ伺うこともできず、ボール回しの撮影もできませんでした。またいつかすぐボール回しを再開できる世の中になってほしいです!

さて、次の『ヴィッセルスタジアム』の放送は22日土曜日のひる12時00分からの放送です!ぜひご覧ください!「Watch the Game」ではJリーグが再開されてからの試合からいくつかピックアップした試合を振り返ります。いつも本番の前にコメンテーターの朴康造さんとVTRをチェックしてから本番へ挑むのですが、そのときの朴康造さんにはいつも「こんなところまで見ているのか!」と感心させられています。本当に勉強になります。
「Watch the Player」ではゴールキーパーの飯倉選手へインタビューです。リモートでの取材となりましたが、20分以上に及んだインタビューもあっという間に感じるほど盛りだくさんの貴重な話を伺えました。キーパーなのに、まるでフィールドプレイヤーのような巧みな足技を駆使する飯倉選手、ときにDFラインの一員としてドリブルまで仕掛ける飯倉選手のプレーは、ヴィッセルサポーターのSNSでは「飯倉チャレンジ」とも呼ばれるそうですが、それに対しての本人の想いなども伺っています。ぜひ注目してください!

ヴィッセル神戸の試合をあまりご覧になっていない方でも、この番組を観れば、今のヴィッセル神戸の状況を分かっていただけるはずです!朴康造さんとハイテンション湯浅アナウンサーとの抜群のコンビネーションもお楽しみに!ご覧ください!

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第25回 2020年シーズンサンテレビボックス席の裏③ ~7月11日 阪神vsDeNA~

DeNA 0 0 0 0 0 0 0 1 3 4
阪神 0 2 0 0 0 0 0 0 0 2

個人的な話で大変恐縮なのですが、自分が中学生や高校生のころから現在も活躍されているようなベテラン選手に私は本当にいつまでも第一線で頑張ってほしいと心から思っています。試合前の練習を観ていても、いつの間にか私が追っているのはベテランの姿です。今のタイガースでいうと、福留選手、能見投手、藤川投手といったところでしょうか。
この3選手にインタビューやスタジオにご出演していただく際には「あぁ、福留だ…能見だ…藤川球児だ…」と、仕事なので決してそういった思いを言葉や態度に表すことはありませんが(※これははっきりとそう言い切ります!)、心の中ではどうしても学生の頃のいちファンであるときのように思ってしまいます。3選手ともとても良い方ですし、インタビューの際には「なるほど…」と唸りたくなるくらい深い話を聞かせて下さるので本当にタメになります。

さて、7月11日(土)の一戦は本当に色々あった試合でした。雨のため、試合開始が18時からおよそ50分遅れました。『サンテレビボックス席』は18時から放送が始まっていますので、シートで覆われているグラウンドや、雨の降る状況を見せつつ、試合開始を待つといった感じです。こういうときの実況アナウンサーと解説者さんは色々な話をしていただきますが、「よくもこんな色々と話せるなぁ」といつも感心させられています。

たまたま前日のヒーロー2選手のインタビューと、矢野監督のインタビューのVTRもありましたので、前日の試合をインタビューを見ながら振り返っていただくこともできました。

試合がいよいよ始まるぞ、というときに場内でもタイガースのスターティングメンバ―の紹介アナウンスがあります。今年は無観客試合がそれまで続いていた、ということもあり、今年のバックスクリーンの演出なども視聴者の方々に楽しんでいただきたい、ということで、演出と場内アナウンスをリンクした映像をお届けすることができました。実況の湯浅アナウンサーからも、「あなたは今甲子園球場にいます!」と話してくれました。臨場感のある映像と音声を楽しんでいただけていれば幸いです。

西勇輝投手と今永投手の両エースの投げ合いとなった試合は、素晴らしい投手戦となりました。タイガースは2回ウラにボーア選手の2ランで先制をしますが、それ以降は得点できず、西勇輝投手も7回途中まで無失点と、緊張感のある試合となりました。

一つ裏話ですが、ボーア選手のホームランの直後、どうしてもあの「ファイアボール」のポーズを中継カメラに向けてやってほしいと思い、③カメさんに「ファイアボール」のジェスチャーをボーア選手に「こっちにお願い!」という意味でやっていただきました。ところが!まさかのファイアボールを放ったのはその前にヒットで出塁していた大山選手でした!貴重な大山選手のファイアボールを見られたのはよかったですが、カメラマンさんもびっくりしていました。

9回表、2対1で迎えた試合のマウンドにはクローザーの藤川球児投手が上がります。名球会入りとなる日米通算250セーブまであと5つ。甲子園球場のバックスクリーンにも藤川投手仕様となる特別映像が流れます。この模様も①カメさんが格好良く撮ってくれたので、その映像をお届けすることができました。
 
しかし…。1アウトから梶谷選手にフォアボール、さらに桑原選手にセンターへ運ばれるヒット、さらにこの打球をセンターの植田選手が後逸してしまい、同点に、なおも打席にはソト選手。その4球目をレフトスタンドに放り込まれてしまいました…。マウンドの藤川投手は打球の方向を見つめ続けていました。①カメさんの撮っているその表情以外に、中継車のモニターにはどのような映像が映されていたでしょうか。信頼して藤川投手を起用した矢野監督や、勝利投手の権利が消えた西勇輝投手、同点となるエラーをしてしまった植田選手などが映し出されていました。私はその中のどれかの映像も映そうかな、と思いましたがスイッチャーさんとのとっさの判断で、それ以外を映さないということにしました。とにかくこの試合を藤川投手に中継の映像では背負ってもらったというわけです。このときの藤川投手の表情は、試合から3週間以上が経った今でも忘れることができません。
 
昨年途中からクローザーに復帰し、見事活躍をした藤川投手は今季日米通算250セーブという大記録に挑んでいるわけですが、得点を許す場面も多々見られました。この試合の翌日、一軍出場選手登録を抹消されましたが、色々と本人しか分からない問題もあったのではないかと思います。このコラムを書いている現在では、一軍に復帰し中継ぎとして再びスタートを切っています。また結果を出して、クローザーに返り咲き、そして日米通算250セーブをぜひとも達成してくれれば、私を含め20年以上藤川投手を応援してきたタイガースファンにとってとても嬉しい話題となるはずです。これからの藤川投手から目が離せません!
中継を何十試合も行わせていただいていると、どの試合もターニングポイントとなりそうな試合だらけです。これからどんな試合を中継させていただけるのか、楽しみにしながら引き続き仕事に取り組んでまいりたいと思います。

次はどんな話にしようか、ちょっと考え中です…。もしかしたらプロ野球以外の話もそろそろするかもしれません。お楽しみに!

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第24回 2020年シーズンサンテレビボックス席の裏② ~7月2日 中日vs阪神~

阪神 0 0 2 0 0 0 0 0 0 2
中日 3 0 0 0 0 0 0 1 x 4

7月2日の中継車Dは私が務めさせていただきました。前回のコラムでも書きましたとおり、「It’s 勝笑 Time!」というチームスローガンを掲げるタイガースが、3連敗という苦しい状況の中どういう表情をベンチの監督・コーチや選手がしているのか、ということをフィーチャーしようと考えていました。

もう一点考えていたことは、サンテレビで無観客試合の中継をするということがそんなに無いため(※7月10日から5000名のお客様を入れて試合を行うことが決定していた)、無観客の中で良く聞こえる打球の音や、一球ごとにベンチから聞こえる選手たちの声を中継で聞くことができれば、と思っていました。ドーム球場ということもあり、一番音が響く環境の中、どういう音が聞こえるのかを視聴者の方々に伝えられれば…ということをスタッフの打ち合わせで話しました。

そうすると、音声さんがいつもとは違うところにマイクを置いてくれました。試合ではベンチの選手たちの自チームを励ます声がいつもより大きく聞こえました。打ち合わせではどうしても「こういう映像を撮りたい」とかカメラさんとの打ち合わせに終始しがちですが、こういう音声さんとのやりとりもあらためて重要だと感じましたし、本当に心強いと思っています。

試合は…タイガース目線で見ると残念な試合でした。1回ウラにビシエド選手に3ランを打たれ、結果としてはこの3点が効いたという試合になってしまいました。途中、ガルシア投手がマウンドから酸欠状態になり降りるアクシデントもありましたが、なんとか先発の役割を発揮してくれた、というシーンもありました。

ベンチの様子は…すごく暗い印象でした。点数の取られ方も正直いいものではなかったかもしれませんが、矢野監督やベンチの選手たちから笑顔は完全に消えていました。こういうときの表情を映すのは私の立場ではとても苦しいのですが、この辛い時期を何とか乗り越えてくれれば…頑張ってほしいと思ってタイガースベンチを映しました。

自分なんかにはわからないくらい苦しい状況であったと思います。最終回のタイガースの攻撃では、近本選手が凡退し、バットをたたきつけたり、最後のバッターとなった上本選手はベースを駆け抜けたあと、しばらく膝に手をついたままうつむいたり、いつまでもベンチの中に残って話をしていたマルテ選手とガルシア選手がいたり、笑顔を映すつもりが、悔しさにあふれた選手ばかりを映していました。正直選手たちの苦しさは私みたいな者にはわかりません。ただ、ああいった姿を見ることで、「選手たちはこんなに頑張っているんだ。悔しいんだ。」というものを私自身は強く感じました。ここを乗り越えた先にその選手たちの笑顔を見られればどれだけ自分たちも笑顔になれるだろうか、ということを考えています。1年間で50試合以上の中継ができるサンテレビならではのタイガースの選手たちのドラマを中継を通してお届けできればと思っています。

次回は雨天コールド、雨による試合開始遅延、など色々あった7月10日から12日に甲子園球場で行われた阪神vs中日の3連戦からあの試合を振り返ってみたいと思います。お楽しみに!

追伸:みなさんは『サンテレビボックス席』のラテ欄(テレビ欄)をご覧になったことはありますでしょうか?毎試合の見どころなどをその日のスポーツ部担当ディレクターが短くまとめて書いております。度々話題になることが多く『サンテレビボックス席』グッズにも商品化されています。ちなみに商品化されたラテ欄の原案者は現在そのグッズを企画する部署にいます!数々の名作を残されたラテ欄職人です!

7月2日のラテ欄の文字の意味はわかっていただけましたでしょうか?無観客試合で聞こえる音を表現してみました。「うぇーい」は選手たちが一球ごとに声掛けをするときのセリフです。「ゴンッ!」はホームランがスタンドの席に当たる音を表現しています!これからもみなさんが「なんやこれ?」と笑っていただけるような楽しいものを考えられるよう精進します!

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第23回 2020年シーズンサンテレビボックス席の裏側① ~7月1日 中日vs阪神~

阪神 0 0 1 0 0 1 0 0 1 3
中日 0 0 0 2 4 0 0 0 x 6

7月1日のナゴヤドームでの中継で幕を開けた今シーズンのサンテレビボックス席ですがこのときのタイガースは調子が悪く、2勝8敗で2連敗中。なんとか勝ってほしいという意気込みでの中継でした。1日の試合も5回を終わって1対6という展開で、守備のミスも出るなど、放送席でFDの業務をしながら観ていて「なんとかチームの雰囲気が明るくなるようなプレーが出ないかな」と思っていました。

この中継では2つポイントがあったと思っています。1つは大山選手がセンターの守備に就いたという場面です。それまで二軍の公式戦ではセンターを守った経験はありましたが、一軍の試合では初めてのセンターでの守備でした。代わった相手が近本選手だったというのも我々が驚いた要因の一つです。

ピッチャーの交代も同時にあった場面ですが、最初に大山選手がセンターへ向かったことに気づいたのはカメラマンさんでした。次に「センターに大山選手がいることをどう映像で表現するか」というのが大事になります。中継ではまず大山選手の顔が映りました。その次に①カメさんが広く球場を撮ってセンターの守備位置にいる大山選手へズームをしてくれました。これで大山選手の守備位置をわかっていただくことができました。

FDとしてもやらなければならないことがありました。それは「大山選手がセンターの守備位置に就くのは何度目か」です。実況アナウンサーも独自に資料をつけていて、データは頭に入っていますが、(湯浅アナウンサーの知識量はゆあペディアと『熱血!タイガース党』のコーナーにもなるほど豊富!)公式のデータをきちんと照らし合わせたうえでないと、間違った情報を伝えることになりかねません。一軍公式戦と二軍公式戦でのデータを即座に調べ、一軍では初めて、二軍では過去に2試合守ったことがある、ということが分かりました。これをアナウンサーに伝えて実況で視聴者の方々にお伝えすることができたわけです。やはり中継でもチームワークが必要ですね!

もう1つはボーア選手の来日第1号ホームランです。4点ビハインドで迎えた9回表の攻撃、ドラゴンズの左腕・岡田投手から初球をえげつないライナーでライトスタンドに運びました。突き刺したという表現が正しいかもしれません。
 
実はこの場面の前のCMの合間に「ボーア選手のホームラン出るかもよ」と湯浅アナウンサーが言っていました。なんの根拠で言ったのかはわかりませんが…(笑)結果としてホームランが出ました。過去にメッセンジャー投手やボーグルソン投手などの来日初ホームランを実況したことのある湯浅アナウンサーの、タイガース外国人選手来日初HR実況が一つ増えました。
 
来日初ホームランだけでなく、ボーア選手が公式戦でサウスポーから打った初ヒットということでもこのホームランは価値のあるものでした。点差のついた終盤のソロホームランだっただけに、自分が中継車Dなら岡田投手のことは忘れてボーア選手ばっかりを映してしまいそうでしたが、中継ではしっかりと岡田投手から打った、ということを印象付ける映像が撮られていました。ここは自分もあらためて認識しないといけないところです。

結果としてタイガースが敗れ3連敗、中継も負けるとあっさり終わります。私が一つ気になっていたことがこの中継ではありました。ボーア選手がホームランを打ってもタイガースベンチでは笑顔があまり見られませんでした…。スローガンは「It’s 勝笑 Time!」負けていても勝っていても常に笑顔で明るく前向きに、というチームコンセプトなのに…。

その翌日の中継車D担当だったので、次の試合ではどんな表情だったとしてもベンチにいる選手や監督の表情は映して、こういう苦しい時期でもスローガンを体現できているかを見たい、と思いました。まさかあんな展開になるとは…。
次回は7月2日の中日vs阪神でのサンテレビボックス席を振り返ります。お楽しみに!

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