洲本・関空航路は公共交通か?~10年ぶり!待望の航路再開も1年で休止に~

淡路島の洲本港と関西国際空港を結ぶ船「淡路関空ライン」。
2017年7月、10年ぶりの復活を果たしたものの、
2018年7月13日をもって運航を休止することになりました。

島民らの期待を乗せて船出した航路にいったい何があったのでしょうか?

まずは淡路島と関空を結ぶ航路の歴史を振り返ります。

1994年9月4日 関西国際空港開港
①えあぽーとあわじあくあらいん(深日海運が前身:洲本と深日を結ぶ 深日は大阪府岬町)洲本港・津名港(淡路市)~関西国際空港就航
②共同汽船(洲本港・津名港~関西国際空港・天保山)

2社が競合し、客の取り合いとなったほか、バブル期の需要を計算に入れた見通しの甘さも指摘されました。その後、「えあぽーとあわじあくあらいん」は、1997年に休止。唯一の共同汽船も、1998年に明石海峡大橋が開通したことで休止となりました。

両社の航路が無くなったと同時に、今度は、(旧津名町が出資)第三セクターの「淡路エアポートライン」(AAL)が津名港と関空を結ぶ船を1998年から就航させましたが、2001年には休止に。そこで、第三セクターである淡路開発事業団が洲本パールラインとして、2001年から洲本・関空航路を再開。税金投入も、年に1億円の赤字が続き、2003年度中に 1市10町(現在は3市)による航路確保対策基金が底を尽きてしまいました。洲本市からの助成金で2007年まで運行を続けましたが、休止に。

民間でも、行政でも継続できなかった背景があります。

【特集動画 2018年7月3日放送 4時!キャッチ特集】

1985年の鳴門海峡大橋開通は、幼かったため記憶がないのですが、洲本市出身の地元民として1998年の明石海峡大橋開通のことはとてもよく覚えています。開通前に、明石海峡大橋ブリッジウォークというイベントがあり、家族で橋を歩きました。

開通後、大阪・神戸への高速バスが就航してとても便利になった一方、フェリーや高速船は次々と姿を消しました。昔は、神戸、須磨、明石、西宮、天保山、関空、深日と様々な高速船とフェリーが淡路と本州を結んでいました。しかし本州を結ぶ航路で現在も残っているのは、岩屋港(淡路市)と明石港とを結ぶ淡路ジェノバラインのみ。(洲本・深日との実験航路はここでは除く)

そんな中、民間の「淡路関空ライン」が、洲本港と関西国際空港とを結ぶ航路を2017年7月、10年ぶりに復活!「おっー!」と思ったニュースでしたが、わずか1年での運航休止に追い込まれました。

【7月5日サンテレビニュース 淡路関空ライン 運休は今月14日から来年3月まで】

【7月13日サンテレビニュース 膨れ上がった赤字を理由に 「淡路関空ライン」運航休止】

2004年10月の台風23号で洲本市にある実家が浸水し、全壊認定を受ける被害がありました。当時大阪で暮らしていた私は、「淡路の北部が土砂崩れで大変だ」という情報を得て、明石海峡大橋を通るバスではなく、関空から船で洲本に向かった経験があります。今回の西日本豪雨でも、明石海峡大橋が通れなくなったことが問題になりましたが、私自身は、淡路島北部の交通網が遮断された場合の防災上の観点からも残すべき「公共交通」ではないかと考えます。

たとえ、小型船にして継続できたとしても、風や波の影響を受けやすいため、欠航の可能性が高くなるという大きな大きな問題があります。大型船(まりんふらわー2)の欠航率は11%、小型船(ジェノバⅠ)の欠航率は30%を超え、小型船になるとかなりの確率で欠航になるという問題が生じ、これでは乗ってもらうのは難しいと思います。しかも、現在の状況では小型船で運航しても1カ月で約700万円の赤字が見込まれ、年間にすると8400万円。行政からの6000万円の補助金を投入しても赤字は膨らみ続けることになるそうです。この状況が変わらない限り、民間での継続というのは難しいと思われます。

何かできないか…。

素人なりに考えてみました。突っ込みどころ満載かもしれませんが、1つのアイデアとしてもしよろしければご覧いただけたらと思います。

1.「洲本港」の名前を「洲本温泉港」に変更
・ホテルや温泉旅館が連なる洲本温泉がすぐ近くにある。
⇒「洲本温泉」のブランドを前面に出す
「洲本温泉=関空から船あり」というイメージで洲本温泉を訪れる人の船の利用者を増やす

2.洲本⇔関空の航路を 洲本→関空→深日→洲本 のトライアングル航路に

・地理的には 洲本→深日→関空→深日→洲本だが、洲本から関空に向かう人は飛行機を利用する場合が多いため、洲本→関空は欠かせない。
⇒関空を利用する乗客だけでなく、深日から淡路への釣り客、サイクリング客、淡路からみさき公園への利用者を取り込むことで収益を増やす

3.船内ガイドを導入 観光船を兼ねる
・(トライアングル航路前提)関空から深日経由洲本航路は直線ではなく、友が島や成ケ島、洲本の大浜沖を少しだけ近づく航路にして案内する。洲本→関空航路は、すでに飛行機を間近で見られることをPRしているので、往路復路ともに見どころがあると言える。
⇒現在は洲本・関空に向かうという人を取り込んでいるが、観光として船に乗ることを目的とした客も取り込む

4.洲本市内と淡路島内の周遊バスの整備
洲本市になぜ淡路市のような観光施設の周遊バスがないのか…。いや、就航までになぜ準備できなかったのか…。整備を進めている段階だそうですが、就航と同時でなければ意味がなかった。

・岩屋(淡路市)と明石を結ぶ航路には、岩屋のポートターミナルからコミュニティバスが運行。
https://www.city.awaji.lg.jp/soshiki/toshisoumu/hokubu20151001.html
船からおりて洲本高速バスセンターまでは少し歩かないといけないので、船着き場前のバス停から必ず船と連結して出発させる必要がある。レンタカー以外の交通手段が必要。
(案)洲本港→洲本高速バスセンター→大浜海水浴場→洲本市立淡路文化史料館→洲本温洲本八幡神社→厳島神社(弁天さん)→洲本レトロこみち→商店街前(COMODE56)→洲本城跡→洲本温泉街→由良→由良要塞前(生石岬展望台)→立川水仙郷→モンキーセンター→(南あわじ市へ)灘黒岩水仙郷 など

洲本市と大阪府岬町が2018年7月から8カ月間、社会実験として、深日と洲本を結ぶ船を運航してます。国の地方創生推進交付金を受けて、スタート。去年も6月~9月までの3カ月間実施され、1万600人が利用しました。ターゲットは違うとはいえ、この取り組みが淡路関空ラインの事業を圧迫したという声もあります。

深日洲本ライナー
http://fuke-sumotoliner.com/

ことしの社会実験は、自転車で淡路島を1周する「あわいち」に挑む自転車愛好家らをターゲットに、2019年2月末まで1日4往復運航されます。実験だけに終わることなく、成果として形に表れることを望んでいます。

淡路島と関空、深日。今後、この航路を継続することができるのかは、税金を投入してでも残す「公共交通」と市民が考えるかどうかではないでしょうか。

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