教えて!新型コロナウイルス コロナの疑問と対策

世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルス。どんなウイルスで、感染を防ぐためにどうしたらいいのでしょうか?兵庫県医師会副会長で、兵庫県の感染症対策を担当する 足立光平医師に話を聞きました。

①新型コロナウイルスとは?
感染性が非常に強いウイルス。症状としては、風邪と同じ変化をして従来のウイルスと違ってわかりにくい。重症度という意味からすると約8割は無症状で終わる。一部の高齢者や持病があるハイリスクの人、合併症(呼吸困難など)のある人は重症化する傾向がある。
そういう人たちをどうやって守るかが大切。無症状の人からどんどんうつるかというとそういうわけではない。

②ではどうしたら感染する危険性が?
飛まつ感染:せきをした人の飛まつを直接受けてしまうこと
接触感染 :つり革や手すりなどについたウイルスを触ってしまうこと
→主に(目・鼻・口の)粘膜からうつるので、顔を触らないこと
空気感染 :密閉された空間だと、飛まつの核(エアロゾル)になって少し離れていても、うつってしまうこともある

③自宅・通勤中・会社で気をつけることは
ドアノブや出入りする時にウイルスが付く場合が1番多い。電車ではつり革、手すりで付く場合があるので、必ず外出後は手を洗って消毒をして出入りをするのが基本。

④手洗いはアルコールでないといけない?
絶対にアルコールではないといけないというわけではない。より効果があるのは、70%以上のアルコール濃度の高いもの。市販の石鹸でも手洗いを十分にすれば大丈夫。しっかり手洗いを!水洗いだけでもしっかり手洗いを。ただせっかく手洗いしても、外からついてきたものを再び触ったり、マスクをまた触ったりしないように注意が必要。付いてきた可能性のあるものをまず外しておいてからしっかりと手洗いをして、家の中や会社に入ったりすること。

爪は常に切っておいて、手洗いは、指先、爪先に至るまで、手首、指の間まで十分に。手の甲も。手首。最後は綺麗に流す。

⑤マスクの効果は?
直接せきをされて、直接的な飛まつを防ぐということでは意味があるので、なるべくしたほうがいい。ただ、鼻を出している人がいるが、せっかくマスクをつけても全く意味がない。しっかりと広げて、鼻とあごまでしっかりと覆うということが大事。つけたら表面を絶対に触らない。ウイルスはマスクの表面に付いているので、表面を触ってはいけない。それをごそごそっと触った手で目に触れてしまうと目の粘膜からウイルスが入ってしまう。中国でも目から感染した人がたくさんいるので、そこが1番大事。ウイルスは、主に粘膜から入るので、鼻や目、口の粘膜から入らないようにすることが基本。

外から帰ったときは表面を触らずに耳からはずして、そのまま捨てる。よく食卓で下を向けて置いておくが、食卓に菌がつくのでダメ。マスクを外して捨ててから手洗いをする順番が大切。

⑥手作りマスクは意味がある?
せきをされて直接の飛まつ感染を防ぐ、あるいは自分で顔を触ってしまうことを防ぐ意味以外では絶対に市販のマスクをしないといけないわけではない。手作りマスクの再利用が絶対だめというわけではない。ただ、洗い方に注意。洗濯機はだめ。マスクの目があらくなってしまうと、布の間がスカスカになってしまい、マスクの意味がなくなる。布製のマスクであることと、布の目の細かいものであることが大事なので。
普通の洗剤で、消毒液までつけなくてもいい。普通のせっけんでもいいので、浸し洗いにして、もみ洗い程度にする。ゴシゴシ洗うとマスクがあらくなってしまうので、そうならない程度にきれいに再利用することが大事。十分に乾かすこと。


医療用のN95マスクは、ウイルスをダイレクトに防ぐことには意味があるが、これをつけていたら一般の人は苦しくて生活できないのでおすすめできない。

⑦スマホとトイレが危険?
スマホを町中で受け皿のように広げることで、細菌やウイルスが付いてくる。プラスチックの表面では何時間か生きていると証明されている。スマホをそのまま家に持ち帰って、同じように使うとウイルスが付いてしまうので、表面を絶えずふいて使うこと。せっかくマスクしていても、スマホによってウイルスを持ち帰ったら意味がない。
また、トイレが1番雑菌、ドアノブを含めて感染しやすい。便座クリーナーがついているところはいいが、ついてないところは、ティッシュで十分にふくというのが大事。トイレでは手洗いをしっかりとすること。

⑧普段の生活で心がけることは
自分の体力と免疫力をつけること。どんなに注意していても、睡眠不足であったり、へとへとになったり、他の病気になったりすることが危険。基礎体力と免疫力が1番大事。しっかりと栄養をとって睡眠をとること。

⑨兵庫大阪間の自粛要請について
よほど爆発している地域、中国の武漢やイタリアを閉鎖するという意味合いでは意味があると思うが、今のような状態で県どうしで止めますといったってそれは不可能。これだけ交通が発達している中で、県境を封鎖するなら、誰がするの?という話にもなるし、そこまでの状況ではない。一部のデータを使ってものを言っているので、それは偏った考え方であってなおかつ有効な手段でもないと思う。本当に危機的な状況というか、その街が集団発生で大変なことになっているのであれば、特措法で、そこの地域を囲んでしまうことはありうるが、まだまだそういった状態ではないので、特定の県と県が隣どうしで出入り禁止をする段階ではない。
一般論として不要不急の旅行や出入りは注意しましょうということで、通勤や通学を全部、県境ごとにやめないといけない風な状況ではない。爆発的な危険性はどこだってある。そういうのを各府県でいかにしっかりと抑えていくか?とりわけ兵庫県の場合は、クラスターという一部の集団発生が見られていることは事実なので、それ以上の感染経路が追えないような感染が拡大しないように必死になって各施設、各病院がやっている段階。そこを乗り越えられれば爆発的な発生はないんではないかと思うのでその辺をいかに防いでいくかが大事。

⑩足立医師が訴えたいこと
全く、感染者を見たことのない医療機関で「感染者が出たらしい」とデマが流れている。ましてや名前が出た医療機関は風評被害で大変なことになっている。職員はまちも歩けない、子どもも保育所にも預けてもらえない。出入りの業者も来ない。医療関係者が必死に頑張っているのに二次・三次被害が出ているのでなんとかしてほしい。

これらのお話は、夕方4時からの「4時!キャッチ」でも放送する予定です。
不正確な情報を人に伝えたり、拡散したりしないことを心がけなければ、親切心が時には大きな迷惑に変わってしまうということ。まさにトイレットペーパー不足が1つの事例だと思います。医療従事者やその家族が、引っ越しのキャンセルやタクシーの乗車拒否など、誹謗中傷や風評被害を受けているそうです。私たちは、今、必死で頑張っている医療従事者や支える家族の邪魔をするのではなく、医療を応援して支える側にならなければいけません。それも1つの対策ではないかと思います。

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